文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-01-24から1日間の記事一覧

リチャード・パワーズ『黄金虫変奏曲』

リチャード・パワーズ 森慎一郎・若島正訳 『黄金虫変奏曲』 みすず書房 リチャード・パワーズ(1957-)の『黄金虫変奏曲』を読了しました。1985年に『舞踏会へ向かう三人の農夫』でデビューしたパワーズが、1991年に発表した第三作目にあたる小説が本書です…

赤川次郎『三毛猫ホームズの狂死曲』

赤川次郎 『三毛猫ホームズの狂死曲』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの狂死曲』を読了しました。作者のクラシック音楽への愛情が良いかたちで作品に反映されていて、ミステリーとしての本筋のプロットには若干粗い部分が見られるものの、作品全体とし…

吉村達也『「北斗の星」殺人事件』

吉村達也 『「北斗の星」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「北斗の星」殺人事件』を読了しました。物語のプロットにはやや強引に組み込まれているように思われる寝台特急「北斗星」のエピソードについても、「取材に行ったから無理に物語と接続したのだろう…

有栖川有栖『46番目の密室』

有栖川有栖 『46番目の密室』 講談社文庫 有栖川有栖の『46番目の密室』を読了しました。「臨床犯罪学者」である火村英生を探偵役とするシリーズ作品の第一作目にあたるのが本書です。後の作品と比べて、探偵役の印象(とりわけ冒頭の教室での講義風景など)…

吉村達也『やさしく殺して』

吉村達也 『やさしく殺して』 集英社文庫 吉村達也の『やさしく殺して』を読了しました。作者のカテゴライズでは、本書は「サスペンス」に分類されるようなのですが、その定義は「怖いけれども、ページの先を読むのに怖すぎはしない展開の読み物」とのこと。…

吉村達也『「戸隠の愛」殺人事件』

吉村達也 『「戸隠の愛」殺人事件』 徳間文庫 吉村達也の『「戸隠の愛」殺人事件』を読了しました。ノベルスとして刊行された当時は詰め将棋がメインのモチーフとして作品の前面に出ていたようなのですが、改稿にあたってはそれが背景に押し出されてしまった…

赤川次郎『悪妻に捧げるレクイエム』

赤川次郎 『悪妻に捧げるレクイエム』 角川文庫 赤川次郎の『悪妻に捧げるレクイエム』を読了しました。小説を共同執筆を主題として、その4名の共同執筆者がそれぞれの個性・文体のもとで描いた作中作小説が展開されるというストーリーは、初めて読んだとき…

吉村達也『初恋』

吉村達也 『初恋』 角川ホラー文庫 吉村達也の『初恋』を読了しました。本書はおそらく作者が発表した最初のホラー作品ということになるのだと思いますが、今回読み返してみるとすっかりコメディ作品のように感じられました。現代の視点から見ると、主人公で…