文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-01-31から1日間の記事一覧

平野啓一郎『死刑について』

平野啓一郎 『死刑について』 岩波書店 平野啓一郎の『死刑について』を読了しました。政治的な発言をためらうことなく続けている作者ですが、自身のかつての死刑存置派という立場から、死刑廃止論者へと至るきっかけとなった(緩やかで複数の)体験が、本書…

村上春樹『やがて哀しき外国語』

村上春樹 『やがて哀しき外国語』 講談社文庫 村上春樹の『やがて哀しき外国語』を読了しました。「村上朝日堂」などの完全にお気楽なテンションで書かれたエッセイとはやや趣が異なる作品で、1991年から約2年半の間にわたって作者が滞在したアメリカはプリ…

赤川次郎『三毛猫ホームズの駆落ち』

赤川次郎 『三毛猫ホームズの駆落ち』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの駆落ち』を読了しました。本書では「ロミオとジュリエット」をモチーフにした人間関係から展開される事件が描かれているのですが、よくも悪くもその思い込みを逆手に取ったプロッ…

赤川次郎『三姉妹探偵団』

赤川次郎 『三姉妹探偵団』 講談社文庫 赤川次郎の『三姉妹探偵団』を読了しました。テレビドラマ化もされた(また、記憶が不確かなのですが、たしかアレンジを加えられたかたちで映画化もされた)有名なシリーズ作品です。主人公となる三姉妹の描写で楽しく…

吉村達也『最後の惨劇』

吉村達也 『最後の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『最後の惨劇』を読了しました。「惨劇の村」と題された五部作も本書でエンディングを迎えることとなります。物語の展開としては驚くほど短く感じられて、本書においておこる事件はあっという間に解決が図れるこ…

吉村達也『月影村の惨劇』

吉村達也 『月影村の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『月影村の惨劇』を読了しました。シリーズの四作目となる本書は、どちらかというと番外編といった位置づけの作品で、前作以上に予定調和から外れる異色作となっています。ミステリーとしてのトリックを期待す…

吉村達也『風吹村の惨劇』

吉村達也 『風吹村の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『風吹村の惨劇』を読了しました。一連のシリーズも第三作目を迎えて、読者が心に抱き始める予定調和から外れるようにして、本書においてシリーズの転換点ともいえる展開を持ってくるあたりに、作者の周到な企…

吉村達也『鳥啼村の惨劇』

吉村達也 『鳥啼村の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『鳥啼村の惨劇』を読了しました。「惨劇の村五部作」の第二作目にあたる作品で、事件の舞台となる架空の「村」の所在場所として設定されているのは、東京都の青ヶ島という実在の島です。GoogleMapなどによっ…

吉村達也『花咲村の惨劇』

吉村達也 『花咲村の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『花咲村の惨劇』を読了しました。「五部作」と銘打たれたシリーズ企画の第一作目にあたるのが本書で、新基軸を打ち出そうとする作者の本領がいかんなく発揮された作品です。ミステリーとして見たときに、単体…