文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-03-06から1日間の記事一覧

貴志祐介『黒い家』

貴志祐介 『黒い家』 角川ホラー文庫 貴志祐介の『黒い家』を読了しました。数々のベストセラー作家を生み出した日本ホラー小説大賞の第四回大賞受賞作品で、言わずとしれた日本のホラー小説作品の傑作のひとつです。生命保険を主題に据えることで、メインと…

吉村達也『南太平洋殺人事件』

吉村達也 『南太平洋殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『南太平洋殺人事件』を読了しました。かなり昔に読んだ記憶では、南太平洋のリゾートホテルを舞台に展開されるミステリーだったはずなのですが、物語のメインとなる事件は八丈島で起きています。その他に…

吉村達也『逆密室殺人事件』

吉村達也 『逆密室殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『逆密室殺人事件』を読了しました。主人公のキャラクターは良くも悪くも印象深いのですが、本書においてはそれがどうも悪い方に働いてしまっているような気もします。主人公の上司の人物造形についても、現…

吉村達也『旧軽井沢R邸の殺人』

吉村達也 『旧軽井沢R邸の殺人』 光文社文庫 吉村達也の『旧軽井沢R邸の殺人』を読了しました。面白いトリックの仕掛けられたミステリー作品なのですが、再読してみてもなぜだか自分の中で印象に残らない作品になってしまっています。プロットも練られてい…

高田崇史『QED 百人一首の呪』

高田崇史 『QED 百人一首の呪』 講談社文庫 高田崇史の『QED 百人一首の呪』を読了しました。メフィスト賞受賞作ということで、ミステリー作品としては一定の捻りが加わったものであることが予想されるのですが、まさに百人一首に仕掛けられた「謎」の解明の…

吉村達也『ケータイ』

吉村達也 『ケータイ』 角川ホラー文庫 吉村達也の『ケータイ』を読了しました。王道ホラー作品という体裁のプロットで終盤における盛り上がりも十分に計算されていて、吉村達也のミステリー作品を期待して読む読者の期待に応えてくれるものになっていると思…

村上春樹/安西水丸『村上朝日堂』

村上春樹/安西水丸 『村上朝日堂』 新潮文庫 村上春樹/安西水丸の『村上朝日堂』を読了しました。かなり最初期のエッセイだと思うのですが、肩の力が抜けた作者の声を楽しむことができます。当時の作者の世界のものの見方を示すものとして興味深く読むこと…

吉村達也『iレディ』

吉村達也 『iレディ』 角川ホラー文庫 吉村達也の『iレディ』を読了しました。設定としてはやや古めかしさが感じられてしまうのですが、単なるホラー作品ではないものを描こうとする作者の意図を感じます(作者自身にはそのような企図はないのかもしれません…

島田荘司『星籠の海』

島田荘司 『星籠の海』 講談社文庫 島田荘司の『星籠の海』を読了しました。読者の期待度を上回る作品かと言われると、どうしてもそうだと言うことはできないのですが、作者らしい企みに満ちた長編作品になっています。2023年の現在の地点から見ると示唆的に…