文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-03-18から1日間の記事一覧

シェイクスピア『ヴェニスの商人』

シェイクスピア 『ヴェニスの商人』 白水Uブックス シェイクスピア(1564-1616)の『ヴェニスの商人』を読了しました。以前に岩波文庫版で読んだ記憶があるのですが、今回は白水社から刊行されている小田島雄志氏の翻訳です。あまりにも有名なユダヤ人商人…

筒井康隆『48億の妄想 マグロマル』

筒井康隆 『48億の妄想 マグロマル』 新潮社 筒井康隆の『48億の妄想 マグロマル』を読了しました。新潮社から刊行された筒井康隆全集の第二巻です。表題にも掲げられている長編作品「48億の妄想」を読むのはこれが初めてでしたが、テレビという存在を通した…

宗田理『ぼくらの七日間戦争』

宗田理 『ぼくらの七日間戦争』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの七日間戦争』を読了しました。映画化もされたジュブナイル作品の傑作ですが、現代の若い子どもたちにも本書は読まれているのでしょうか。才気を感じさせる描写といささかステレオタイプにも思える…

島田荘司『夏、19歳の肖像』

島田荘司 『夏、19歳の肖像』 文春文庫 島田荘司の『夏、19歳の肖像』を読了しました。サスペンスに満ちた前半の展開から、瑞々しい青春小説のタッチを経て、後半は作者お得意のロマンティシズムに満ちたクライマックスへと流れ込んでいく物語で、作者の小説…

森博嗣『封印再度』

森博嗣 『封印再度』 講談社文庫 森博嗣の『封印再度』を読了しました。かつてこのシリーズを読んでいた時期も、この作品を読む頃から何となく惰性で読んでいたような記憶があるのですが、このたび読み返してみても少し退屈さの方が前に出てくる読書体験とな…

河野啓『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』

河野啓 『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』 集英社文庫 河野啓の『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』を読了しました。第十八回開高健ノンフィクション賞受賞作である本書ですが、Yahoo!JAPANのニュースでいささか扇情的な宣伝がなされていた…

スティーヴン・キング『ダークタワー Ⅵ スザンナの歌』

スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワー Ⅵ スザンナの歌』 角川文庫 スティーヴン・キングの『ダークタワー Ⅵ スザンナの歌』を読了しました。残すところはあと二作品となった本シリーズですが、作者の別作品である『呪われた町』の登場人物である…

歌野晶午『さらわれたい女』

歌野晶午 『さらわれたい女』 角川文庫 歌野晶午の『さらわれたい女』を読了しました。本書の解説で法月綸太郎氏が「言いかえれば本書は、歌野氏が島田荘司氏の引力圏内から離脱して、岡嶋二人的な作風へシフトしていく最初の試みだったことになるけれど」と…

村上春樹『蛍・納屋を焼く・その他の短編』

村上春樹 『蛍・納屋を焼く・その他の短編』 新潮文庫 村上春樹の『蛍・納屋を焼く・その他の短編』を読了しました。本書の冒頭に置かれた短編作品「蛍」ですが、この作品の一部は『ノルウェイの森』に引き継がれて長編作品として展開されていたように記憶し…

フランシス・フクヤマ『歴史の終わり』

フランシス・フクヤマ 渡部昇一訳 『歴史の終わり』 三笠書房 フランシス・フクヤマの『歴史の終わり』を読了しました。ふとしたきっかけもあって、政治学や歴史学の範疇に入るであろう本書を手にとって読むこととなりました。20世紀においてヘーゲルの思想…

吉村達也『トリック狂殺人事件』

吉村達也 『トリック狂殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『トリック狂殺人事件』を読了しました。昔に私が初めて読んだ吉村氏の作品は本書だったと記憶しているのですが、久し振りに読み返してみても読後の印象は良くも悪くもあまり変わりませんでした。伏線の…

ポール・アルテ『第四の扉』

ポール・アルテ 平岡敦訳 『第四の扉』 ハヤカワ文庫 ポール・アルテの『第四の扉』を読了しました。ディクスン・カーに影響を受けたというフランスのミステリー作家のデビュー作品が本書です。本書の解説において麻耶雄嵩氏が指摘しているように、トリック…

赤川次郎『三毛猫ホームズの恐怖館』

赤川次郎 『三毛猫ホームズの恐怖館』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの恐怖館』を読了しました。登場人物の多さに読んでいていささか混乱させられるところがあるのですが、いろいろと新奇な企みが見て取れる作品になっていると思います。 【満足度】★…