文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-03-24から1日間の記事一覧

ウラジーミル・ソローキン『23000』

ウラジーミル・ソローキン 松下隆志訳 『23000』 河出書房新社 ウラジーミル・ソローキン(1955-)の『23000』を読了しました。『氷』と『ブロの道』に続く三部作の掉尾を飾る作品で、23000人の仲間を集めた兄弟団(カルト集団)たちの結集と、カルト集団に…

ヘニング・マンケル『霜の降りる前に』

ヘニング・マンケル 柳沢由実子訳 『霜の降りる前に』 創元推理文庫 ヘニング・マンケル(1948-2015)の『霜の降りる前に』を読了しました。作者が生み出した人気シリーズの主人公である刑事クルト・ヴァランダーの娘で、警察学校を修了して今まさに警察官に…

乗代雄介『パパイヤ・ママイヤ』

乗代雄介 『パパイヤ・ママイヤ』 小学館 乗代雄介の『パパイヤ・ママイヤ』を読了しました。高校生である二人の少女の繊細な交流を描いた青春小説です。『旅する練習』が児童文学の文脈からも評価を受けたように、本書はいわゆる主流文学というよりもヤング…

ナディン・ゴーディマ『この道を行く人なしに』

ナディン・ゴーディマ 福島富士男訳 『この道を行く人なしに』 みすず書房 ナディン・ゴーディマの『この道を行く人なしに』を読了しました。ゴーディマの作品を読むのは、長編作品としては『バーガーの娘』以来のこととなります。訳者が解説で述べているよ…