文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-05-06から1日間の記事一覧

島田荘司『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』

島田荘司 『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』 光文社文庫 島田荘司の『寝台特急「はやぶさ」1/60秒の壁』を読了しました。刑事である吉敷竹史を主人公とするシリーズ作品の第一作目にあたるのが本書で、作者が書いたいわゆる「トラベルミステリー」の最初の…

宗田理『ぼくらの大冒険』

宗田理 『ぼくらの大冒険』 角川文庫 宗田理の『ぼくらの大冒険』を読了しました。子どもの頃に読んだときは、何とも稀有壮大な展開だなと感じられたプロットですが、現在の地点から読むと(本書における事件の解決方法のご都合主義はともかくとして)、何と…

吉村達也『「北京の龍王」殺人事件』

吉村達也 『「北京の龍王」殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『「北京の龍王」殺人事件』を読了しました。ワンナイトミステリーと題された中編作品の一作で、今回の読書で以前にも本書を読んでいたことを思い出しました。実在の将棋棋士が実名で登場する(さら…

アガサ・クリステイー『死人の鏡』

アガサ・クリステイー 小倉多加志訳 『死人の鏡』 ハヤカワ文庫 アガサ・クリステイー(1890-1976)の『死人の鏡』を読了しました。名探偵ポアロを探偵役とする四つの短編作品が収録されています。英語の原題を見るに、本書の表題作とは異なる「厩舎街の殺人…

スティーヴン・クレイン『勇気の赤い勲章』

スティーヴン・クレイン 藤井光訳 『勇気の赤い勲章』 光文社古典新訳文庫 スティーヴン・クレイン(1871-1900)の『勇気の赤い勲章』を読了しました。19世紀末の時代にあまりに短い生涯を生きたクレインの代表作で、南北戦争を題材に描かれた「戦争小説」で…

吉村達也『別れてください』

吉村達也 『別れてください』 集英社文庫 吉村達也の『別れてください』を読了しました。作者自身によって「サスペンス」として分類されている作品の一つなのですが、これまでに読んだ同ジャンルの他作品と同様に何とも不思議な読み心地の作品です。これはこ…

歌野晶午『生存者、一名』

歌野晶午 『生存者、一名』 祥伝社文庫 歌野晶午の『生存者、一名』を読了しました。再読だったのですが、ストーリーはほとんど忘れてしまっていました。孤島を舞台にしたミステリー作品でもあるのですが、リドルストリーの趣向もあって、中編作品という長さ…

レイチェル・クシュナー『終身刑の女』

レイチェル・クシュナー 池田真紀子訳 『終身刑の女』 小学館文庫 レイチェル・クシュナーの『終身刑の女』を読了しました。ブッカー賞最終候補作という触れ込みもあって手に取ることとなりましたが、どちらかというとエンターテインメント系の作品を出して…

赤川次郎『ひまつぶしの殺人』

赤川次郎 『ひまつぶしの殺人』 角川文庫 赤川次郎の『ひまつぶしの殺人』を読了しました。その奇抜な設定で、数ある作者の小説群の中でも特にユニークで人気のある作品になっているのが本書です。タイトルが単なる付け足しになっているところなど、いろいろ…