文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

2023-05-25から1日間の記事一覧

フリオ・リャマサーレス『黄色い雨』

フリオ・リャマサーレス 木村榮一訳 『黄色い雨』 河出文庫 フリオ・リャマサーレスの『黄色い雨』を読了しました。現代スペイン文学という私にとっては未知の領域の作品でした。 表題作で描かれたアイニェーリェ村は実際に存在するものであるという巻頭に置…

赤川次郎『瑠璃色のステンドグラス』

赤川次郎 『瑠璃色のステンドグラス』 光文社文庫 赤川次郎の『瑠璃色のステンドグラス』を読了しました。いささか多すぎる登場人物たちに何とか物語上の顛末をつけるために、終盤にはかなり目まぐるしい展開があって、ポカンとしてしまう結果となりました。…

吉村達也『踊る少女』

吉村達也 『踊る少女』 角川ホラー文庫 吉村達也の『踊る少女』を読了しました。短編集としてどれも一定水準の恐さを備えた7つの作品が収録されています。個人的には表題作となった「踊る少女」が読後も印象に残り続けています。 【満足度】★★★☆☆

貴志祐介『クリムゾンの迷宮』

貴志祐介 『クリムゾンの迷宮』 角川文庫 貴志祐介の『クリムゾンの迷宮』を読了しました。もう何年前のことになるのか数えるのもうんざりしてしまうほど昔に初めて読んだときは、どきどきしながらページをめくったことをよく覚えています。作者らしいエンタ…

我孫子武丸『0の殺人』

我孫子武丸 『0の殺人』 講談社文庫 我孫子武丸の『0の殺人』を読了しました。何となく新人作家の第二作目に相応しい作品というか、技術で描ききった推理小説という印象です。作者お得意のユーモアの面でも、私個人的には物足りなさが残ってしまうのですが…

吉村達也『金沢W坂の殺人』

吉村達也 『金沢W坂の殺人』 光文社文庫 吉村達也の『金沢W坂の殺人』を読了しました。トリッキーな設定の四重殺人と物語性とがうまく融合した推理小説で、作者の才能が遺憾なく発揮された作品です。面白く読むことができました。 【満足度】★★★☆☆

村上春樹・安西水丸『夜のくもざる』

村上春樹・安西水丸 『夜のくもざる』 新潮文庫 村上春樹・安西水丸の『夜のくもざる』を読了しました。村上春樹らしい偏見に満ちた(おそらく褒め言葉には聞こえないと思うのですが、作家の個性という意味では得がたいものなのだと思います)視点やフレーズ…

有栖川有栖『暗い宿』

有栖川有栖 『暗い宿』 角川文庫 有栖川有栖の『暗い宿』を読了しました。作者の書くミステリーはいつもの通り一定水準以上の満足度を与えてくれるものですが、本作品集では特に「ホテル・ラフレシア」の鮮烈なラストシーンが忘れがたい印象を残します。物語…

赤川次郎『三毛猫ホームズのびっくり箱』

赤川次郎 『三毛猫ホームズのびっくり箱』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズのびっくり箱』を読了しました。短編集として舞台設定にはバラエティがあって、それぞれのシチュエーションで事件に巻き込まれるレギュラー登場人物たちの様子を楽しむというが…

吉村達也『死者からの人生相談』

吉村達也 『死者からの人生相談』 徳間文庫 吉村達也の『死者からの人生相談』を読了しました。ラジオ局に勤めていた作者ならではのキャリアを活かした小説として面白く読むことができた反面、ミステリーとしてはまだまだ“こなれていない”印象の作品です。 …

吉村達也『御殿山の殺人』

吉村達也 『御殿山の殺人』 光文社文庫 吉村達也の『御殿山の殺人』を読了しました。『六麓荘の殺人』に続いて、高級住宅地シリーズとでもいうべき作品なのですが、ミステリーとしてはいささか物足りなさを覚えてしまいます。 【満足度】★★★☆☆

麻耶雄嵩『神様ゲーム』

麻耶雄嵩 『神様ゲーム』 講談社文庫 麻耶雄嵩の『神様ゲーム』を読了しました。「ミステリーランド」として刊行された当時に読んで度肝を抜かれた作品なのですが、再読してみた今回にあってもその驚きは色褪せないものがありました。ミステリーにおける探偵…

吉村達也『六麓荘の殺人』

吉村達也 『六麓荘の殺人』 光文社文庫 吉村達也の『六麓荘の殺人』を読了しました。このシリーズならではの大がかりなトリックをメインに据えながらも、その奇抜さという面ではやや大人しい印象の作品です。その分、ロジカルな出来栄えにはなっていると思う…

吉村達也『日本国殺人事件』

吉村達也 『日本国殺人事件』 ハルキ文庫 吉村達也の『日本国殺人事件』を読了しました。満を持して復活した探偵役たちの描写には懐かしさを覚えながらも、どこか物足りなさの残る読書となりました。何というか、中期以降の作者らしい展開の作品ではあると思…