2023-02-01から1ヶ月間の記事一覧
森博嗣 『詩的私的ジャック』 講談社文庫 森博嗣の『詩的私的ジャック』を読了しました。以前に読んだときはキャラクター小説としての展開やサスペンスの方に関心の重点があったような記憶があるのですが、今回読み返してみるとミステリーとしての作り方に捻…
我孫子武丸 『狩人は都を駆ける』 文春文庫 我孫子武丸の『狩人は都を駆ける』を読了しました。動物嫌いでありながら、決まって動物絡みの相談が寄せられる私立探偵が京都の街を舞台に活躍する姿を描いた作品集です。全体的にはユーモラスな筆致で描かれてい…
吉村達也 『危険なふたり』 集英社文庫 吉村達也の『危険なふたり』を読了しました。作者自身による分類では「心理サスペンス」という範疇に入る作品なのですが、これまた何とも不思議な読み心地の作品でした。面白かったかといわれると微妙なところで、どの…
吉村達也 『「香港の魔宮」殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『「香港の魔宮」殺人事件』を読了しました。「ワンナイトミステリー」と題された中編小説(少し長めの短編小説)です。キャッシュカードの悪用というワンテーマをうまく作品の中に組み込んでいて、…
吉村達也 『先生』 角川ホラー文庫 吉村達也の『先生』を読了しました。貴志祐介氏が『悪の教典』で極限的に描いたテーマを、吉村氏がそれよりもずっと以前にこのようなかたちで描いていたのだと思うとそれはそれで面白いのですが、作品の出来栄えとしては、…
宮部みゆき 『魔術はささやく』 新潮文庫 宮部みゆきの『魔術はささやく』を読了しました。折に触れて読み返したくなる作品なのですが、読むたびにその面白さが減じられることのない私にとっては稀有な作品です。 【満足度】★★★★☆
ル・クレジオ 中地義和訳 『隔離の島』 ちくま文庫 ル・クレジオの『隔離の島』を読了しました。原題は“La Quarantaine”で「検疫」を意味していますが、物語自体もフランスからモーリシャスへと向かう船内で発生した天然痘のために、登場人物たちが目的地近…
貴志祐介 『十三番目の人格 ISOLA』 角川文庫 貴志祐介の『十三番目の人格 ISOLA』を読了しました。寡作で知られる作者の初期作品ですが、エンターテインメントとしてプロットが周到に練られていて、再読であるにもかかわらず、飽きることなく最後まで読み進…
吉村達也 『銀河鉄道の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『銀河鉄道の惨劇』を読了しました。作者自身が公言するように、ミステリーの創作方法自体が転換を迎えていた頃の作品で、いろいろな試行錯誤というか、分断のようなものが見て取れる作品になっていると思い…
ミシェル・ウエルベック 関口涼子訳 『セロトニン』 河出書房新社 ミシェル・ウエルベックの『セロトニン』を読了しました。世界中で注目される作家の最新作品ですが、日本で翻訳書が出版されてからも随分と時間が経過してしまいました。愛を巡る現代人の絶…
森博嗣 『笑わない数学者』 講談社文庫 森博嗣の『笑わない数学者』を読了しました。以前に読んだことがある作品なのですが、どこかぼんやりとした印象しか残っておらず、今回読み返してみてもその印象が大きく変わることはありませんでした。それがなぜなの…
赤川次郎 『三毛猫ホームズの運動会』 角川文庫 赤川次郎の『三毛猫ホームズの運動会』を読了しました。「三毛猫ホームズ」シリーズ初の短編集ということで出版社側も力が入っていたのか、収録作品数も多くボリューム満点の作品集となっています。短編らしい…
島田荘司 『改定完全版 火刑都市』 講談社文庫 島田荘司の『改定完全版 火刑都市』を読了しました。随分と昔に読んだことのある作品で、内容はまったくといっていいほど覚えていなかったのですが、楽しく読むことができました。作者らしい大きな幻想が作品の…
吉村達也 『「カリブの海賊」殺人事件』 角川文庫 吉村達也の『「カリブの海賊」殺人事件』を読了しました。ワントリックをメインに据えた作者らしい「ワンナイトミステリー」に仕上がっていると思います。あまり大きな声では言えませんが、トリック自体は本…
吉村達也 『文通』 角川ホラー文庫 吉村達也の『文通』を読了しました。作者のホラー作品の第二作目で、後から知ったことではありますが、売れ行きも良かった作品のようです。タイトルが示すとおり「文通」をテーマとした作品で、手書きの文字からなる手紙も…
吉村達也 『血洗島の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『血洗島の惨劇』を読了しました。舞台はついに「島」ですらなくなった「惨劇の島」三部作の最終作となります。この「三部作」については、渋沢栄一のように共通したモチーフもあることはあるのですが、シリー…
吉村達也 『水曜島の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『水曜島の惨劇』を読了しました。「惨劇の島」シリーズと題された作品の二作目となりますが、前作である『宝島の惨劇』と同様に、初期の作者のミステリーにお馴染みのトリッキーなミステリー作品を期待してい…
吉村達也 『宝島の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『宝島の惨劇』を読了しました。この作品は読むのは初めてのこととなります。「宝島」と呼ばれる島が日本に実在するという驚きとそこから掻き立てられるロマンというべきものが本書の駆動力の半分くらいを占めて…
吉村達也 『銀閣寺の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『銀閣寺の惨劇』を読了しました。あらためて読み返してみると、二冊目を読み終えた後に気付かされる真相はかなりあからさまなかたちで読者の前に提示されていました。ネタバレになってしまいますが、この前代…
吉村達也 『金閣寺の惨劇』 徳間文庫 吉村達也の『金閣寺の惨劇』を読了しました。「二冊読み終えたときに、初めて第二の真相が浮かび上がる《双方向多重構造》ミステリー」と謳われる仕掛けの込められた作者の意欲作です。対になる作品である『銀閣寺の惨劇…
赤川次郎 『一日だけの殺し屋』 角川文庫 赤川次郎の『一日だけの殺し屋』を読了しました。短編作品集ですが、それぞれ読み心地の異なる八つの作品が収録されています。「探偵物語」という短編は、後に映画化もされることになる長編小説のパイロット作品とい…
吉村達也 『編集長連続殺人』 光文社文庫 吉村達也の『編集長連続殺人』を読了しました。手元にある文庫本のカバー裏のタイトルは「編集長殺人事件」となっていて、ちょっと面食らってしまいます。第6刷なのですが、ずっとこの誤植が続いていたのでしょうか…