文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ドイツ・オーストリア文学

F. ヴェデキント『春のめざめ』

F. ヴェデキント 酒寄進一訳 『春のめざめ』 岩波文庫 F. ヴェデキント(1864-1918)の『春のめざめ』を読了しました。本書はドイツのハノーファーに生まれた劇作家ヴェデキント(父親がアメリカで長く暮らしていた関係でヴェデキントはドイツに生まれながら…

エッカーマン『ゲーテとの対話』

エッカーマン 山下肇訳 『ゲーテとの対話』 岩波文庫 エッカーマン(1792-1854)の『ゲーテとの対話』を読了しました。ドイツの若き詩人であるヨハン・ペーター・エッカーマンが文豪ゲーテと出会い、彼の良き使徒としてゲーテとの間に交わされた「対話」を著…

ベルンハルト・シュリンク『朗読者』

ベルンハルト・シュリンク 松永美穂訳 『朗読者』 新潮文庫 ベルンハルト・シュリンク(1944-)の『朗読者』を読了しました。最初に本書を読んだのは新潮クレストブックスから刊行された2000年のことなので、およそ19年ぶりの読書ということになりました。当…

カロッサ『指導と信従』

カロッサ 国松孝二訳 『指導と信従』 岩波文庫 カロッサ(1878-1956)の『指導と信従』を読了しました。ハンス・カロッサはドイツの詩人・小説家で医者でもあります。小説作品には自伝的なものが多く、本書も幼年時代から、医師としての生活、そしてシュテフ…

トーマス・マン『トーニオ・クレーガー 他一篇』

トーマス・マン 平野卿子訳 『トーニオ・クレーガー』 河出文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『トーニオ・クレーガー 他一篇』を読了しました。本作は高校時代に読んだような記憶があるのですが、あまり確かなところは覚えていません。大学時代にもたしか…

トーマス・メレ『背後の世界』

トーマス・メレ 金志成訳 『背後の世界』 河出書房新社 トーマス・メレ(1975-)の『背後の世界』を読了しました。現代ドイツ文学を代表する作家のひとりとされるトーマス・メレの初邦訳作品が本書です。帯の言葉には「あまりに赤裸々な告白の数々、作家や出…

アーダベルト・シュティフター『石さまざま』

アーダベルト・シュティフター 高木久雄・林昭・田口義弘・松岡幸司・青木三陽訳 『石さまざま』 松籟社 アーダベルト・シュティフター(1805-1868)の『石さまざま』を読了しました。シュティフターは昔からなぜだか好きな作家で、大学時代からずっと愛読し…

ジークフリート・レンツ『遺失物管理所』

ジークフリート・レンツ 松永美穂訳 『遺失物管理所』 新潮社 ジークフリート・レンツ(1926-2014)の『遺失物管理所』を読了しました。戦後のドイツ文学を代表する作家のひとりであるジークフリート・レンツ。日本での翻訳紹介は1970年代以来ぱったりと途絶…

トーマス・マン『ブッデンブローク家の人びと』

トーマス・マン 望月市恵訳 『ブッデンブローク家の人びと』 岩波文庫 トーマス・マン(1875-1955)の『ブッデンブローク家の人びと』を読了しました。本書はノーベル賞作家でもある文豪トーマス・マンの処女長編作品で1901年に完成しました。私は大学時代に…

エーリヒ・ケストナー『飛ぶ教室』

エーリヒ・ケストナー 池内紀訳 『飛ぶ教室』 新潮文庫 エーリヒ・ケストナー(1899-1974)の『飛ぶ教室』を読了しました。タイトルは良く知っていたものの、これまでに読んだことはなかった本書ですが、新潮文庫スタークラシックスの新訳を仕事の合間の車中…

ペーター・ハントケ『左ききの女』

ペーター・ハントケ 池田香代子訳 『左ききの女』 同学社 ペーター・ハントケ(1942-)の『左ききの女』を読了しました。「新しいドイツの文学」シリーズと銘打たれて1989年に翻訳の初版が発行されています。ペーター・ハントケは1966年にデビューした後、19…

シャミッソー『影をなくした男』

シャミッソー 池内紀訳 『影をなくした男』 岩波文庫 アーデルベルト・フォン・シャミッソー(1781-1838)はフランスに生まれながら、フランス革命により家族でドイツに亡命し、ドイツで詩人そして植物学者として活躍した人物です。そんなシャミッソーが友人…