文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ラテンアメリカ文学

マリオ・バルガス=リョサ『悪い娘の悪戯』

マリオ・バルガス=リョサ 八重樫克彦・八重樫由貴子訳 『悪い娘の悪戯』 作品社 マリオ・バルガス=リョサ(1936-)の『悪い娘の悪戯』を読了しました。『楽園への道』に続いて2006年に発表された本書は「恋愛小説」と呼ぶにふさわしい作品なのですが、作品発…

G・ガルシア=マルケス『わが悲しき娼婦たちの思い出』

G・ガルシア=マルケス 木村榮一訳 『わが悲しき娼婦たちの思い出』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『わが悲しき娼婦たちの思い出』を読了しました。2004年に発表されたガルシア=マルケスの最後の小説作品です。長編作品というにはあまりに短く…

G・ガルシア=マルケス『愛その他の悪霊について』

G・ガルシア=マルケス 旦敬介訳 『愛その他の悪霊について』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『愛その他の悪霊について』を読了しました。『コレラの時代の愛』と同様に愛をテーマにした作品です。短めの長編小説というか、中編小説といっても差…

フエンテス『アルテミオ・クルスの死』

フエンテス 木村榮一訳 『アルテミオ・クルスの死』 岩波文庫 カルロス・フエンテス(1928-2012)の『アルテミオ・クルスの死』を読了しました。メキシコの作家フエンテスが1962年に発表した長編作品で、『テラ・ノストラ』や『老いぼれグリンゴ』などの作品…

『20世紀ラテンアメリカ短編選』

野谷文昭編訳 『20世紀ラテンアメリカ短編選』 岩波文庫 『20世紀ラテンアメリカ短編選』を読了しました。本書には16人のラテンアメリカ作家による短編が収録されています。ガルシア=マルケス、バルガス=リョサ、コルタサルやフエンテスなど既読の作家もいれ…

マリオ・バルガス=リョサ『楽園への道』

マリオ・バルガス=リョサ 田村さと子訳 『楽園への道』 河出文庫 マリオ・バルガス=リョサ(1936-)の『楽園への道』を読了しました。2003年に発表された本作品は、河出書房新社の池上夏樹氏個人編集の世界文学全集の一冊として2008年に日本で刊行された後、…

『ラテンアメリカ五人集』

マリオ・バルガス=リョサほか 安藤哲行ほか訳 『ラテンアメリカ五人集』 集英社文庫 ラテンアメリカ文学を代表する作家五人の作品を独自編集したのが本書『ラテンアメリカ五人集』です。ホセ・エミリオ・パチェーコ、ミゲル・アンヘル・アストゥリアスは初…

G・ガルシア=マルケス『コレラの時代の愛』

G・ガルシア=マルケス 木村榮一訳 『コレラの時代の愛』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『コレラの時代の愛』を読了しました。1985年に発表された本作は、『予告された殺人の記録』(1981)と『迷宮の将軍』(1989)の間の時期に書かれています…

J・L・ボルヘス『創造者』

J・L・ボルヘス 鼓直訳 『創造者』 岩波文庫 J・L・ボルヘス(1899-1986)の『創造者』を読了しました。小説や評論の分野で多大な影響力を残したボルヘスですが、その詩作の分野で代表的な作品のひとつが1960年に発表された本書であるとのこと。詩集というよ…

コルタサル『奪われた家/天国の扉 動物寓話集』

コルタサル 寺尾隆吉訳 『奪われた家/天国の扉 動物寓話集』 光文社古典新訳文庫 フリオ・コルタサル(1914-1984)の『奪われた家/天国の扉 動物寓話集』を読了しました。1951年に発表されたコルタサルの活動初期の短編集です。本書には8編の短編作品が収…

マリオ・バルガス=リョサ『チボの狂宴』

マリオ・バルガス=リョサ 八重樫克彦・八重樫由貴子訳 『チボの狂宴』 作品社 マリオ・バルガス=リョサ(1936-)の『チボの狂宴』を読了しました。ドミニカ共和国で長年にわたって独裁者として君臨したトゥルヒーリョをテーマに取り上げたバルガス=リョサの…

J・L・ボルヘス『七つの夜』

J・L・ボルヘス 野谷文昭訳 『七つの夜』 岩波文庫 J・L・ボルヘス(1899-1986)の『七つの夜』を読了しました。本書には、ボルヘスがブエノスアイレスにあるコリセオ劇場で七夜にわたって行った七つの講演が収められています。「神曲」、「悪夢」、「千一夜…

フアン・ルルフォ『ペドロ・パラモ』

フアン・ルルフォ 杉山晃・増田義郎訳 『ペドロ・パラモ』 岩波文庫 フアン・ルルフォ(1917-1986)の『ペドロ・パラモ』を読了しました。メキシコの作家であるルルフォが生涯で著した本はたったの二冊とのことで(脚本などは書いていたようなのですが)、短…

J・コルタサル/O・パスほか『短編コレクションⅠ』

J・コルタサル/O・パスほか 木村榮一/野谷文昭ほか訳 『短編コレクションⅠ』 河出書房新社 池澤夏樹個人編集による世界文学全集の一冊として刊行された『短編コレクションⅠ』を読了しました。南北アメリカ、アジア、そしてアフリカから短編小説が20篇収録…

レオナルド・パドゥーラ『犬を愛した男』

レオナルド・パドゥーラ 寺尾隆吉訳 『犬を愛した男』 水声社 レオナルド・パドゥーラ(1955-)の『犬を愛した男』を読了しました。キューバの作家であるパドゥーラは、マリオ・コンデ警部補シリーズとして知られるミステリー小説で人気を博する作家とのこと…

G・ガルシア=マルケス『予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』

G・ガルシア=マルケス 野谷文昭・旦敬介訳 『予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1927-2014)の『予告された殺人の記録 十二の遍歴の物語』を読了しました。新潮社のガルシア=マルケス全小説シリーズの一冊で、中編作品…

J・L・ボルヘス『ブロディーの報告書』

J・L・ボルヘス 鼓直訳 『ブロディーの報告書』 岩波文庫 J・L・ボルヘス(1899-1986)の『ブロディーの報告書』を読了しました。本書はアルゼンチンの作家ボルヘスの短編作品集で、比較的晩年になって発表された作品のようです。収録された作品群が持つ性格…

コルタサル『秘密の武器』

コルタサル 木村榮一訳 『秘密の武器』 岩波文庫 フリオ・コルタサル(1914-1984)の『秘密の武器』を読了しました。本書は1959年に発表された短編集です。「母の手紙」、「女中勤め」、「悪魔の涎」、「追い求める男」、「秘密の武器」の5篇が収録されてい…

マリオ・バルガス=リョサ『アンデスのリトゥーマ』

マリオ・バルガス=リョサ 木村榮一訳 『アンデスのリトゥーマ』 岩波書店 マリオ・バルガス=リョサ(1936-)の『アンデスのリトゥーマ』を読了しました。本書が発表されたのは1993年で、邦訳が刊行されたのは2010年のノーベル文学賞受賞後のタイミングとなる…

ロベルト・ボラーニョ『通話』

ロベルト・ボラーニョ 松本健二訳 『通話』 白水社 ロベルト・ボラーニョ(1953-2003)の『通話』を読了しましたいわゆる「ブーム」を形作ったラテンアメリカ文学の系譜とは少し世代を画する、若きチリの作家・ボラーニョですが、50歳の若さで亡くなった後は…

マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』

マヌエル・プイグ 野谷文昭訳 『蜘蛛女のキス』 集英社文庫 マヌエル・プイグ(1932-1990)の『蜘蛛女のキス』を読了しました。アルゼンチンの作家プイグは、ガルシア=マルケスよりはやや年下で、バルガス=リョサよりはやや年上という年代にあたり、サブカル…

G・ガルシア=マルケス『悪い時 他9篇』

G・ガルシア=マルケス 高見英一他訳 『悪い時 他9篇』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『悪い時 他9篇』を読了しました。1958年から1962年にかけて発表された中短編を収録した作品集です。「大佐に手紙は来ない」、「ママ・グランデの葬儀」など…

J・L・ボルヘス『詩という仕事について』

J・L・ボルヘス 鼓直訳 『詩という仕事について』 岩波文庫 J・L・ボルヘス(1899-1986)の『詩という仕事について』を読了しました。本書はアルゼンチン出身の作家・ボルヘスが1967年から68年にかけてハーバード大学で行った詩学講義の記録です。古今の文学…

バルガス=リョサ『密林の語り部』

バルガス=リョサ 西村英一郎訳 『密林の語り部』 岩波文庫 バルガス=リョサ(1936-)の『密林の語り部』を読了しました。本書が発表されたのは1987年のことで、大統領選に出馬する1990年の少し前ということになります。第二作『緑の家』でも描かれたアマゾン…

マリオ・バルガス・ジョサ『マイタの物語』

マリオ・バルガス・ジョサ 寺尾隆吉訳 『マイタの物語』 水声社 マリオ・バルガス・ジョサ(1936-)の『マイタの物語』を読了しました。本訳書における表記にしたがって作者の名前は「バルガス=リョサ」ではなく「バルガス・ジョサ」としておきます。日本で…

G・ガルシア=マルケス『落葉 他12編』

G・ガルシア=マルケス 高見英一他訳 『落葉 他12編』 新潮社 G・ガルシア=マルケス(1928-2014)の『落葉 他12編』を読了しました。本書はガルシア=マルケスの初期作品を収録した作品集です。表題作にもなっている「落葉」は中編作品というべき長さで、それ…

ロベルト・アルルト『怒りの玩具』

ロベルト・アルルト 寺尾隆吉訳 『怒りの玩具』 現代企画室 ロベルト・アルルト(1900-1942)の『怒りの玩具』を読了しました。ブエノスアイレスに生まれたアルゼンチンの作家であるアルルトは、ボルヘスとほぼ同時代の作家でありながら、まったく文学的な志…

マリオ・バルガス=リョサ『世界終末戦争』

マリオ・バルガス=リョサ 旦敬介訳 『世界終末戦争』 新潮社 マリオ・バルガス=リョサ(1936-)の『世界終末戦争』を読了しました。ほぼ発表の順番に呼んできたバルガス=リョサの長編小説ですが、若干入手しづらくなっている『パンタレオン大尉と女たち』と…

J・L・ボルヘス『語るボルヘス 書物・不死性・時間ほか』

J・L・ボルヘス 木村榮一訳 『語るボルヘス 書物・不死性・時間ほか』 岩波文庫 J・L・ボルヘス(1899-1986)の『語るボルヘス 書物・不死性・時間ほか』を読了しました。本書はアルゼンチンを代表する作家ボルヘスが1978年にブエノスアイレスの大学で行…

フリオ・コルタサル『石蹴り遊び』

フリオ・コルタサル 土岐恒二訳 『石蹴り遊び』 水声社 フリオ・コルタサル(1914-1984)の『石蹴り遊び』を読了しました。アルゼンチンの作家コルタサルの代表作のひとつです。 本書の特徴を語るには冒頭に置かれた「指定表」の存在に触れざるを得ません。…