文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

哲学

ラリー・ラウダン『科学と価値 相対主義と実在論を論駁する』

ラリー・ラウダン 小草泰・戸田山和久訳 『科学と価値 相対主義と実在論を論駁する』 勁草書房 ラリー・ラウダン(1941-)の『科学と価値 相対主義と実在論を論駁する』を読了しました。科学史家・科学哲学者として活躍するラウダンの科学哲学上の主著の翻訳…

スティーヴン・P・スティッチ『断片化する理性 認識論的プラグマティズム』

スティーヴン・P・スティッチ 薄井尚樹訳 『断片化する理性 認識論的プラグマティズム』 勁草書房 スティーヴン・P・スティッチ(1943-)の『断片化する理性 認識論的プラグマティズム』を読了しました。認識論を自然化するというクワインの標榜したプロジェ…

ジョン・ロック『統治二論』

ジョン・ロック 加藤節訳 『統治二論』 岩波文庫 ジョン・ロック(1632-1704)の『統治二論』を読了しました。ロックの政治哲学上の主著といえる作品で、文字通り「統治(government)」に関する二つの論考が収録されています。 「統治について」と題された…

鈴木貴之編著『実験哲学入門』

鈴木貴之編著 『実験哲学入門』 勁草書房 鈴木貴之編著『実験哲学入門』を読了しました。哲学という営みにおいて行われてきた概念分析においては、哲学者が様々な概念の内実を明らかにするために、自身(たち)の「直観」への適合性を問題にしてきたのですが…

キム・ステレルニー/ポール・E・グリフィス『セックス・アンド・デス 生物学の哲学への招待』

キム・ステレルニー/ポール・E・グリフィス 松本俊吉監修 『セックス・アンド・デス 生物学の哲学への招待』 春秋社 キム・ステレルニー/ポール・E・グリフィスの『セックス・アンド・デス 生物学の哲学への招待』を読了しました。原著は1999年に出版され…

フレッド・ドレツキ『行動を説明する 因果の世界における理由』

フレッド・ドレツキ 水本正春訳 『行動を説明する 因果の世界における理由』 勁草書房 フレッド・ドレツキ(1932-2013)の『行動を説明する 因果の世界における理由』を読了しました。原著が出版されたのは1988年で、著者のドレツキはクワインの「自然化され…

ホッブズ『リヴァイアサン』

ホッブズ 水田洋訳 『リヴァイアサン』 岩波文庫 ホッブズ(1588-1679)の『リヴァイアサン』を読了しました。イギリスの哲学者トマス・ホッブズが著した政治哲学の古典です。「人間について」、「コモン-ウェルスについて」、「キリスト教のコモン-ウェルス…

アンディ・クラーク『生まれながらのサイボーグ』

アンディ・クラーク 呉羽真・久木田水生・西尾香苗訳 『生まれながらのサイボーグ』 春秋社 アンディ・クラークの『生まれながらのサイボーグ』を読了しました。サブタイトルは「心・テクノロジー・知能の未来」、心の哲学や認知科学の領域で参照されるべき…

ジョン・R・サール『MiND 心の哲学』

ジョン・R・サール 山本貴光・吉川浩光訳 『MiND 心の哲学』 ちくま学芸文庫 ジョン・R・サールの『MiND 心の哲学』を読了しました。オースティンと共に言語行為論の主導的な論者であったサールですが、人工知能批判やかの有名な中国語の部屋の議論をはじめ…

中川純男責任編集『哲学の歴史 第3巻 神との対話【中世】』

中川純男責任編集 『哲学の歴史 第3巻 神との対話【中世】』 中央公論新社 『哲学の歴史 第3巻 神との対話【中世】』を読了しました。「アレクサンドリアの神学」と題された章から始まって、エックハルトに至るまでのいわゆる「中世哲学」の歴史が概観されま…

ジョン・ロック『キリスト教の合理性』

ジョン・ロック 加藤節訳 『キリスト教の合理性』 岩波文庫 ジョン・ロック(1632-1704)の『キリスト教の合理性』を読了しました。『人間知性論』や『統治二論』などの著作が有名なロックですが、その宗教思想については、哲学や政治学の分野における業績ほ…

エルンスト・マッハ『感覚の分析』

エルンスト・マッハ 須藤吾之助・廣松渉訳 『感覚の分析』 法政大学出版局 エルンスト・マッハ(1838-1916)の『感覚の分析』を読了しました。オーストリア出身の物理学者で、科学史や科学哲学の分野でも活躍したマッハが著した哲学の著作のひとつが本書です…

伊勢田哲治『科学哲学の源流をたどる 研究伝統の百年史』

伊勢田哲治 『科学哲学の源流をたどる 研究伝統の百年史』 ミネルヴァ書房 伊勢田哲治の『科学哲学の源流をたどる』を読了しました。本書は、20世紀の論理実証主義以前の「科学哲学」に関する歴史を整理して紐解いた科学哲学史の研究書です。ハーシェル、ヒ…

ソール・A・クリプキ『名指しと必然性』

ソール・A・クリプキ 八木沢敬・野家啓一訳 『名指しと必然性』 産業図書 ソール・A・クリプキ(1940-)の『名指しと必然性』を読了しました。ラッセルによる確定記述に基づく固有名の解釈に真っ向から反対して、指示の因果説を提唱した20世紀の言語哲学にお…

上枝美典『現代認識論入門 ゲティア問題から徳認識論まで』

上枝美典 『現代認識論入門 ゲティア問題から徳認識論まで』 勁草書房 上枝美典の『現代認識論入門 ゲティア問題から徳認識論まで』を読了しました。エドマンド・ゲティアが1963年に発表した極めて短い論文を端緒として、主に英米系の分析哲学の流れの中で「…

Nelson Goodman "Fact, Fiction, and Forecast"

Nelson Goodman "Fact, Fiction, and Forecast" Harvard University Press Nelson Goodman(1906-1988)の"Fact, Fiction, and Forecast"を読了しました。『事実・虚構・予言』として勁草書房から翻訳が出ており、現在も流通している書籍ではあるのですが、…

ヒューム『自然宗教をめぐる対話』

ヒューム 犬塚元訳 『自然宗教をめぐる対話』 岩波文庫 ヒューム(1711-1776)の『自然宗教をめぐる対話』を読了しました。ヒュームにしては珍しく対話篇の形式によって書かれた著作で、そのテーマの繊細さゆえにヒュームの死後になってから出版された作品で…

J・R・サール『言語行為』

J・R・サール 坂本百大・土屋俊訳 『言語行為』 勁草書房 J・R・サール(1932-)の『言語行為』を読了しました。現代アメリカを代表する哲学者の一人で長くカリフォルニア大学バークレー校で教鞭をとっていたサールですが、近年になって残念なかたちで大学を…

ライプニッツ『モナドロジー 他二篇』

ライプニッツ 谷川多佳子・岡部英男訳 『モナドロジー 他二篇』 岩波文庫 ライプニッツ(1646-1716)の『モナドロジー 他二篇』を読了しました。本書には、ライプニッツが単純な実体として定義する「モナド」についての形而上学を展開した論文に加えて、「理…

ヒラリー・パトナム『存在論抜きの倫理』

ヒラリー・パトナム 関口浩喜他訳 『存在論抜きの倫理』 法政大学出版局 ヒラリー・パトナム(1926-2016)の『存在論抜きの倫理』を読了しました。2002年に発表された本書は、イタリアのペルージャ大学で行われた連続講義と、オランダはアムステルダムで行わ…

ヒラリー・パトナム『理性・真理・歴史 内在的実在論の展開』

ヒラリー・パトナム 野本和幸他訳 『理性・真理・歴史 内在的実在論の展開』 法政大学出版局 ヒラリー・パトナム(1926-2016)の『理性・真理・歴史 内在的実在論の展開』を読了しました。パトナムは20世紀後半のアメリカにおいて大きな影響力を持った哲学者…

イアン・ハッキング『確率の出現』

イアン・ハッキング 広田すみれ・森元良太訳 『確率の出現』 慶應義塾大学出版会 イアン・ハッキング(1936-)の『確率の出現』を読了しました。現代アメリカを代表する科学哲学者のひとりであるハッキングが1975年に発表して、現在まで続く確率論隆盛の嚆矢…

ダレル・P・ロウボトム『確率』

ダレル・P・ロウボトム 佐竹祐介訳 『確率』 岩波書店 ダレル・P・ロウボトムの『確率』を読了しました。岩波書店から刊行された「現代哲学のキーコンセプト」シリーズの一冊です。「確率」=“Proability”を巡る議論が見通しよく整理された良書です。 本書で…

小河原誠編『批判と挑戦―ポパー哲学の継承と発展にむけて』

小河原誠編 『批判と挑戦―ポパー哲学の継承と発展にむけて』 未来社 小河原誠の『批判と挑戦―ポパー哲学の継承と発展にむけて』を読了しました。科学という営みの輪郭を特徴付けるために「反証主義」を唱えた哲学者ポパーの受容史と、ポパーに対する批判への…

プラトン『国家』

プラトン 藤沢令夫訳 『国家』 岩波文庫 プラトン(BC427-BC347)の『国家』を読了しました。言わずとしれた古代の哲学者プラトンの著した対話篇です。文庫本上下巻で本文が900ページ超という長さのほぼ全編が、ソクラテスとアテナイの人々とによる対話形式…

納富信留『プラトンとの哲学 対話篇を読む』

納富信留 『プラトンとの哲学 対話篇を読む』 岩波新書 納富信留の『プラトンとの哲学 対話篇を読む』を読了しました。著者自身が「あとがき」において触れているように、既に岩波新書にはプラトンを主題とした作品が2つもラインナップされています。そのう…

ウィルフリド・セラーズ『経験論と心の哲学』

ウィルフリド・セラーズ 浜野研三訳 『経験論と心の哲学』 岩波書店 ウィルフリド・セラーズ(1912-1989)の『経験論と心の哲学』を読了しました。ローティによる序文とブランダムによる詳細な手引きが付されて一冊の書籍として刊行されていますが、本論自体…

リサ・ボルトロッティ『非合理性』

リサ・ボルトロッティ 鴻浩介訳 『非合理性』 岩波書店 リサ・ボルトロッティの『非合理性』を読了しました。本書は「現代哲学のキーコンセプト」と題されて刊行された叢書の一冊で、イギリスのポリティ社から刊行された哲学教科書シリーズから精選された五…

一ノ瀬正樹『英米哲学入門―「である」と「べき」の交差する世界』

一ノ瀬正樹 『英米哲学入門―「である」と「べき」の交差する世界』 ちくま新書 一ノ瀬正樹の『英米哲学入門―「である」と「べき」の交差する世界』を読了しました。タイトルから想像されるのは、イギリス経験論あたりから始まって、プラグマティズムの論述も…

トマス・ネーゲル『どこでもないところからの眺め』

トマス・ネーゲル 中村昇他訳 『どこでもないところからの眺め』 春秋社 トマス・ネーゲル(1937-)の『どこでもないところからの眺め』を読了しました。論文「コウモリであるとはどのようなことか」がつとに有名なアメリカ哲学界の重鎮のひとりですが、本書…