文学批評・研究書・解説書
ジム・フジーリ 村上春樹訳 『ペット・サウンズ』 新潮社 ジム・フジーリの『ペット・サウンズ』を読了しました。作者はミステリー小説のほか、ロックやポップスに関する文章を発表していて、本書はアメリカのロックバンドであるビーチ・ボーイズが1966年に…
川崎寿彦 『イギリス文学史入門』 研究者出版 川崎寿彦『イギリス文学史入門』を読了しました。初版の発行が1986年という少し古めの本ですが、大学の学部生向けのオーソドックスな英文学入門書です。『ベーオウルフ』から始まって、キングズリー・エイミスの…
山下昇・渡辺克昭編 『二〇世紀アメリカ文学を学ぶ人のために』 世界思想社 山下昇・渡辺克昭編『二〇世紀アメリカ文学を学ぶ人のために』を読了しました。世界思想社の「学ぶ人のために」シリーズ(?)の一冊です。「時代を映す鏡としての文学」、「多文化…
ウラジミール・ナボコフ 野島秀勝訳 『ナボコフの文学講義』 河出文庫 ウラジミール・ナボコフ(1899-1977)の『ナボコフの文学講義』を読了しました。ナボコフがアメリカに亡命した後の大学での講義録をもとにした評論集です。取り上げられている作家と作品…
佐竹謙一 『スペイン文学案内』 岩波文庫 佐竹謙一『スペイン文学案内』を読了しました。岩波文庫別冊として刊行されたスペイン文学へのガイド本です。本書の構成は文学史の大まかな流れを一通り追った後で、遡ってまた年代順に個々の作家や作品を取り上げる…
筒井康隆 『創作の極意と掟』 講談社文庫 筒井康隆の『創作の極意と掟』を読了しました。方法論に自覚的な作家(そうでない作家の方が例外的なのかもしれませんが)である筒井氏の創作論、というよりは批評的エッセイが収録されたのが本書です。肩の力が抜け…
平野啓一郎 『考える葦』 キノブックス 平野啓一郎の『考える葦』を読了しました。批評・エッセイ集なのですが、何かテーマをもって編纂された書籍というよりは、近年のそれらの仕事を一冊にまとめたものです。エッセイよりは批評の方が面白いのですが、著者…
亀井俊介 『アメリカ文学史 講義3 現代人の運命』 南雲堂 亀井俊介の『アメリカ文学史 講義3 現代人の運命』を読了しました。古本屋で購入したものだと思うのですが、なぜだか第三巻である本書のみが私の手元にあります。本書におけるアメリカ文学史は1930年…
渡辺一夫・鈴木力衛 『増補 フランス文学案内』 岩波文庫 渡辺一夫・鈴木力衛『増補 フランス文学案内』を読了しました。中世から20世紀に至るまでのフランス文学の歴史を概説した本書ですが、その叙述はフランス文学史を「人間」に関する探究の歴史と捉える…
柴田元幸 『ケンブリッジ・サーカス』 新潮文庫 柴田元幸の『ケンブリッジ・サーカス』を読了しました。英文学者・翻訳家として知られる柴田氏の若き日の姿などをうかがい知ることができるエッセイ・紀行・自伝的短編小説。少し中途半端な編集の本であると感…
板橋好枝・髙田賢一編著 『はじめて学ぶ アメリカ文学史』 ミネルヴァ書房 板橋好枝・髙田賢一編著『はじめて学ぶ アメリカ文学史』を読了しました。古本屋で何となく手に取って買い求めたものですが、棚に何冊か置いてあったことからすると、どこかの大学で…
柳瀬尚紀 『翻訳はいかにすべきか』 岩波新書 柳瀬尚紀(1943-2016)の『翻訳はいかにすべきか』を読了しました。「翻訳という語は、筆者にとって、あくまで日本語である」と本書の冒頭で宣言されていますが、「日本語」への翻訳にこだわる著者は、本書にお…
中村健之介 『ドストエフスキー人物事典』 講談社学術文庫 中村健之介の『ドストエフスキー人物事典』を読了しました。書店の店頭で見かけて何の気なしに購入したのですが、控えめにいって「当たり」というか、本書を一度読み始めてからは、寝食を忘れて夢中…
柳瀬尚紀 『ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』 岩波新書 柳瀬尚紀(1943-2016)の『ジェイムズ・ジョイスの謎を解く』を読了しました。並行してジョイスの『ユリシーズ』を読んでいるのですが、そちらの読書の方はゆっくりとした進み行きでなかなか終わりが…
木原善彦 『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』 彩流社 木原善彦『実験する小説たち 物語るとは別の仕方で』を読了しました。本書はブックガイドなので「読了」という表現は似合わないのかもしれませんが。昔からブックガイドというものが好きで、それ…
若島正 『ロリータ、ロリータ、ロリータ』 作品社 海外文学作品、つまりは、いわゆる「一次文献」だけではなくて、研究書や解説書などの「二次文献」を読了したときも、その感想を綴っていきたいと思います。今回はナボコフ研究者として知られる若島正の『ロ…