英米文学
スティーヴン・ハンター 佐藤和彦訳 『極大射程』 新潮文庫 スティーヴン・ハンターの『極大射程』を読了しました。冒険小説の有名作品なのですが読むのは今回が初めてのことで、映画化された作品についても未視聴です。銃に関する偏執的な愛着を描いている…
フィッツジェラルド 小川高義訳 『若者はみな悲しい』 光文社古典新訳文庫 フィッツジェラルド(1896-1940)の『若者はみな悲しい』を読了しました。短編集はどうしても「傑作選」ということになりがちなフィッツジェラルドのオリジナルな短編集を読むことが…
ラルフ・エリスン 松本昇訳 『見えない人間』 白水Uブックス ラルフ・エリスン(1914-1994)の『見えない人間』を読了しました。「全米図書賞を受賞した黒人文学の金字塔」というと、作品に対するいささかステレオタイプなイメージを生んでしまいそうですが…
ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『ヘンリー六世 第一部』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『ヘンリー六世 第一部』を読了しました。「第一部」とありますが、本書の解説によれば、「第二部」や「第三部」よりも前に書か…
アーサー・ミラー 倉橋健訳 『セールスマンの死』 ハヤカワ演劇文庫 アーサー・ミラー(1915-2005)の『セールスマンの死』を読了しました。本書はアーサー・ミラーの代表的な戯曲作品でピュリッツァー賞受賞作です。作者の作品を読むのは私にとって初めての…
ダシール・ハメット 小鷹信光訳 『マルタの鷹』 ハヤカワ文庫 ダシール・ハメット(1894-1961)の『マルタの鷹』を読了しました。私立探偵サム・スペードを主人公とするハードボイルド小説の古典作品です。プロットが面白いかといわれると首をかしげてしまう…
コーマック・マッカーシー 山口和彦訳 『果樹園の守り手』 春風社 コーマック・マッカーシー(1933-)の『果樹園の守り手』を読了しました。本書は1965年に発表されたマッカーシーのデビュー作品です。寡作で知られる作者が発表した小説は全部で12作品のよう…
スティーヴン・キング 深町眞理子訳 『ペット・セマタリー』 文春文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ペット・セマタリー』を読了しました。キング初期の有名ホラー作品ということもあって、物語の基本的な設定については聞いたことがあったのですが、小…
バーナード・マラマッド 青山南訳 『テナント』 みすず書房 バーナード・マラマッド(1914-1986)の『テナント』を読了しました。それほど数の多くない作者の長篇小説のうち、本書はこれが初邦訳となるようです。とはいえ、その他の長篇小説の翻訳のうち多く…
ヒラリー・マンテル 宇佐川晶子訳 『ウルフ・ホール』 早川書房 ヒラリー・マンテル(1952-)の『ウルフ・ホール』を読了しました。ブッカー賞受賞作品である本書は、イギリスの政治家でありヘンリー8世に仕えたトマス・クロムウェルを主人公とする歴史小説…
マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『警告』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『警告』を読了しました。作者のシリーズ作品の中では地味な部類に入ると思うのですが、ジャーナリストであるジャック・マカヴォイを主人公とする作品です。ジャーナリストという自…
湯浅信之訳 『対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)』 岩波文庫 『対訳 ジョン・ダン詩集―イギリス詩人選(2)』を読了しました。本書を読むまで、ジョン・ダン(1572-1631)という詩人のことはまったく知らなかったのですが、後世において形而上詩人…
ジェイムズ・サーバー 鳴海四郎訳 『虹をつかむ男』 ハヤカワ文庫 ジェイムズ・サーバー(1894-1961)の『虹をつかむ男』を読了しました。雑誌『ニューヨーカー』の編集者として活躍し、自身も作家・漫画家として多数の作品を寄稿したジェームズ・サーバーの…
グレイス・ペイリー 村上春樹訳 『その日の後刻に』 文春文庫 グレイス・ペイリー(1922-2007)の『その日の後刻に』を読了しました。生涯で三冊の作品集しか残していない作者の最後の作品集で、巻末にはエッセイやインタビューも収録されています。骨太の小…
J・アップダイク 井上謙治訳 『さようならウサギ』 新潮社 J・アップダイク(1932-2009)の『さようならウサギ』を読了しました。「ウサギ」ことハリー・アングストロームの人生を綴った大河小説の掉尾を飾る作品です。作者自身が(途中から「メガノベル」と…
マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『鬼火』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『鬼火』を読了しました。最近のハリー・ボッシュシリーズは、読み終わった後にプロットを思い出そうとしても、まったく思い出すことができないようになってしまったのですが、それ…
アガサ・クリステイー 小倉多加志訳 『死人の鏡』 ハヤカワ文庫 アガサ・クリステイー(1890-1976)の『死人の鏡』を読了しました。名探偵ポアロを探偵役とする四つの短編作品が収録されています。英語の原題を見るに、本書の表題作とは異なる「厩舎街の殺人…
スティーヴン・クレイン 藤井光訳 『勇気の赤い勲章』 光文社古典新訳文庫 スティーヴン・クレイン(1871-1900)の『勇気の赤い勲章』を読了しました。19世紀末の時代にあまりに短い生涯を生きたクレインの代表作で、南北戦争を題材に描かれた「戦争小説」で…
レイチェル・クシュナー 池田真紀子訳 『終身刑の女』 小学館文庫 レイチェル・クシュナーの『終身刑の女』を読了しました。ブッカー賞最終候補作という触れ込みもあって手に取ることとなりましたが、どちらかというとエンターテインメント系の作品を出して…
レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 『大いなる眠り』 ハヤカワ文庫 レイモンド・チャンドラー(1888-1959)の『大いなる眠り』を読了しました。フィリップ・マーロウを主人公とする一連のシリーズ作品の第一作にあたるのが本書なのですが、私が読むのは今…
フィッツジェラルド 小川高義訳 『グレート・ギャッツビー』 光文社古典新訳文庫 スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)の『グレート・ギャッツビー』を読了しました。最初に高校生の頃に野崎孝氏の翻訳で読んで、その後、村上春樹氏の翻訳で読み直し、…
ジュリアン・バーンズ 『イングランド・イングランド』 創元ライブラリ ジュリアン・バーンズの『イングランド・イングランド』を読了しました。『終わりの感覚』でブッカー賞を受賞している作者ですが、本書も同賞の最終候補作品になったとのこと。イギリス…
シェイクスピア 『ヴェニスの商人』 白水Uブックス シェイクスピア(1564-1616)の『ヴェニスの商人』を読了しました。以前に岩波文庫版で読んだ記憶があるのですが、今回は白水社から刊行されている小田島雄志氏の翻訳です。あまりにも有名なユダヤ人商人…
スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワー Ⅵ スザンナの歌』 角川文庫 スティーヴン・キングの『ダークタワー Ⅵ スザンナの歌』を読了しました。残すところはあと二作品となった本シリーズですが、作者の別作品である『呪われた町』の登場人物である…
リチャード・パワーズ 森慎一郎・若島正訳 『黄金虫変奏曲』 みすず書房 リチャード・パワーズ(1957-)の『黄金虫変奏曲』を読了しました。1985年に『舞踏会へ向かう三人の農夫』でデビューしたパワーズが、1991年に発表した第三作目にあたる小説が本書です…
アーシュラ・K・ル=グウィン 村上春樹訳 『空飛び猫』 講談社文庫 アーシュラ・K・ル=グウィン(1929-2018)の『空飛び猫』を読了しました。SF作家として、また『ゲド戦記』などのファンタジー作品の書き手として知られる作者ですが、本書のような絵本作品…
フィリップ・K・ディック 山形浩生訳 『ヴァリス[新訳版]』 ハヤカワ文庫 フィリップ・K・ディック(1928-1982)の『ヴァリス』を読了しました。カバー裏に書かれた粗筋などから、本書が問題作という位置づけであることは知っていたのですが、読み進める…
マイクル・コナリー 古川嘉通訳 『素晴らしき世界』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『素晴らしき世界』を読了しました。原題は“Dark Sacred Night”なのですが、「暗く聖なる夜」という邦題の別作品が既に存在(原題は“Lost Light”)していて、これは何とも…
アイザック・アシモフ 小尾芙佐訳 『われはロボット[決定版]』 ハヤカワ文庫 アイザック・アシモフ(1920-1992)の『われはロボット[決定版]』を読了しました。「ロボット工学三原則」を掲げて展開される作品群から成る、いわば連作短編集のような構成に…
J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと死の秘宝』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターと死の秘宝』を読了しました。世界的ベストセラーとなったファンタジーシリーズも第七作目である本書で完結となります。シリーズを通して張られて…