文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』

J・D・サリンジャー 柴田元幸訳 『ナイン・ストーリーズ』 ヴィレッジブックス J・D・サリンジャー(1919-2010)の『ナイン・ストーリーズ』を読了しました。3年ほど前に新潮文庫の野崎氏の訳で読んだのですが(さらにその昔、高校生の頃にも読んだ記憶があ…

アリ・スミス『秋』

アリ・スミス 木原善彦訳 『秋』 新潮社 アリ・スミス(1962-)の『秋』を読了しました。現代イギリスで注目すべき作家のひとりであるアリ・スミスの作品で、ブッカー賞候補作ともなったのが本書の帯には「最初の『ポスト・ブレグジット』小説」とあります。…

アン・ビーティ『燃える家』

アン・ビーティ 亀井よし子訳 『燃える家』 ブロンズ新社 アン・ビーティ(1947-)の『燃える家』を読了しました。優れた短編作家として知られるアン・ビーティですが、以前に「ニューヨーカー」掲載作品のアンソロジーで読んだ作品の切れ味があまりに見事で…

スコット・フィッツジェラルド『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』

スコット・フィッツジェラルド 村上春樹編訳 『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』 中央公論新社 『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』を読了しました。フィッツジェラルドの晩年にあたる1930年代に書かれた小説とエッセイを、村上…

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ くぼたのぞみ訳 『アメリカーナ』 河出文庫 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(1977-)の『アメリカーナ』を読了しました。アディーチェはナイジェリアの作家で、2013年に発表された長編第三作である本書は全米批評家…

ウィリアム・ギャディス『JR』

ウィリアム・ギャディス 木原善彦訳 『JR』 国書刊行会 ウィリアム・ギャディス(1922-1998)の『JR』を読了しました。1975年に発表された本書の原題は“JR FAMILY OF COMPANIES”で、11歳の少年JRがひょんなことから手にした株式をもとに巨大コングロマリット…

J・アップダイク『日曜日だけの一カ月』

J・アップダイク 井上謙治訳 『日曜日だけの一カ月』 新潮社 J・アップダイク(1932-2009)の『日曜日だけの一カ月』を読了しました。原題は“A Month of Sundays”で発表されたのは1975年のこと、ちょうど中期の作品といってよいのでしょうか。牧師の姦通とい…

ブレット・イーストン・エリス『アメリカン・サイコ』

ブレット・イーストン・エリス 小川高義訳 『アメリカン・サイコ』 角川文庫 ブレット・イーストン・エリス(1964-)の『アメリカン・サイコ』を読了しました。かつて映画化もされて良くも悪くも話題になった作品ですが、それから20年以上経ってからの読書と…

ジョン・アーヴィング『また会う日まで』

ジョン・アーヴィング 小川高義訳 『また会う日まで』 新潮社 ジョン・アーヴィング(1942-)の『また会う日まで』を読了しました。2005年に発表されたアーヴィングの11作目の長編小説で、原題は“Until I Find You”です。父を知らずに育った主人公のジャック…

スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『三つの小さな王国』 白水Uブックス スティーヴン・ミルハウザー(1943-)の『三つの小さな王国』を読了しました。1993年に発表された本書の原題は“Little Kingdoms”で、三篇の中編作品が収録されています。「J・フ…

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ 木原善彦訳 『私はゼブラ』 白水社 アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ(1983-)の『私はゼブラ』を読了しました。イラン系アメリカ人である作者が描く、文学に取り付かれた現代のドン・キホーテの物語です。『…

アン・パチェット『ベル・カント』

アン・パチェット 山本やよい訳 『ベル・カント』 ハヤカワ文庫 アン・パチェット(1963-)の『ベル・カント』を読了しました。2001年に発表された本書はPEN/フォークナー賞を受賞しています。南米のとある国を舞台に、日本企業の社長の誕生パーティー会場を…

トム・ジョーンズ『拳闘士の休息』

トム・ジョーンズ 岸本佐知子訳 『拳闘士の休息』 河出文庫 トム・ジョーンズ(1945-2016)の『拳闘士の休息』を読了しました。本書の表題作はトム・ジョーンズのデビュー作で『ニューヨーカー』への持ち込み原稿が編集者の目に留まり発表されると、1993年の…

バーナード・マラマッド『レンブラントの帽子』

バーナード・マラマッド 小島信夫・浜本武雄・井上謙治訳 『レンブラントの帽子』 夏葉社 バーナード・マラマッド(1914-1986)の『レンブラントの帽子』を読了しました。『レンブラントの帽子』は1973年にニューヨークの出版社から刊行された、マラマッドの…

レイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』

レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 『リトル・シスター』 ハヤカワ文庫 レイモンド・チャンドラー(1888-1959)の『リトル・シスター』を読了しました。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする七つの長編作品のうち、1949年に発表された五作目にあた…

フィリップ・ロス『グッバイ、コロンバス』

フィリップ・ロス 中川五郎訳 『グッバイ、コロンバス』 朝日出版社 フィリップ・ロス(1933-2018)の『グッバイ、コロンバス』を読了しました。1959年に発表されたこの作品はロスのデビュー作で、全米図書賞も受賞しています。発表されたときは中編作品「グ…

H・P・ラヴクラフト『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』

H・P・ラヴクラフト 南條竹則訳 『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』 新潮文庫 H・P・ラヴクラフト(1890-1937)の『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』を読了しました。新潮スタークラシックスと題された、新潮文庫における海外文学の新訳シリーズ…

ジェフリー・ディーヴァー『悪魔の涙』

ジェフリー・ディーヴァー 土屋晃訳 『悪魔の涙』 文春文庫 ジェフリー・ディーヴァーの『悪魔の涙』を読了しました。映画化もされた『ボーン・コレクター』をはじめとする、四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムを主人公とするシリーズ作品が有名なディ…

ウィリアム・シェイクスピア『十二夜』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『十二夜』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『十二夜』を読了しました。かなり昔に岩波文庫の翻訳で読んだ記憶があるのですが、今回は白水社から出版されている小田島氏による翻訳での再…

カート・ヴォネガット『国のない男』

カート・ヴォネガット 金原瑞人訳 『国のない男』 中公文庫 カート・ヴォネガット(1922-2007)の『国のない男』を読了しました。本書は2005年に刊行されたヴォネガットの遺作となった作品で、当時のアメリカの(というよりも世界の)社会情勢も踏まえたユー…

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ 魅惑者』

ウラジーミル・ナボコフ 若島正・後藤篤訳 『ロリータ 魅惑者』 新潮社 ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)の『ロリータ 魅惑者』を読了しました。新潮社から刊行されたナボコフ・コレクションの五巻目に当たる本書には、若島正氏による翻訳にロシア語版と…

マイクル・コナリー『訣別』

マイクル・コナリー 古川嘉通 『訣別』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『訣別』を読了しました。2016年に刊行されたハリー・ボッシュシリーズ作品です。原題は“The Wrong Side of Goodbye”で、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』が想起されます。ロサン…

ヒュー・ロフティング『ドリトル先生航海記』

ヒュー・ロフティング 福岡伸一訳 『ドリトル先生航海記』 新潮文庫 ヒュー・ロフティング(1886-1947)の『ドリトル先生航海記』を読了しました。「ドリトル先生」シリーズは、イギリス生まれの土木技師である作者が娘と息子のために書いた物語が原型となっ…

ヘンリ・ミラー『北回帰線』

ヘンリ・ミラー 大久保康雄訳 『北回帰線』 新潮文庫 ヘンリ・ミラー(1891-1980)の『北回帰線』を読了しました。パリ滞在中の1934年に発表された本書は彼の処女作であり代表作で、作家の魂の声が打ち込まれた作品になっています。作家自身は本書を「これは…

スティーヴ・エリクソン『きみを夢みて』

スティーヴ・エリクソン 越川芳明訳 『きみを夢みて』 ちくま文庫 スティーヴ・エリクソン(1950-)の『きみを夢みて』を読了しました。原題は“These Dreams Of You”でヴァン・モリソンが1970年に発表したアルバムの収録曲名から取られています。2007年にエ…

アリス・マンロー『ディア・ライフ』

アリス・マンロー 小竹由美子訳 『ディア・ライフ』 新潮社 アリス・マンロー(1931-)の『ディア・ライフ』を読了しました。2012年に発表された本書は「最新最後の短編集」と銘打たれています。2013年6月に執筆生活からの引退を明言したアリス・マンローは…

アップダイク『クーデタ』

アップダイク 池澤夏樹訳 『クーデタ』 河出書房新社 アップダイク(1932-2009)の『クーデタ』を読了しました。アフリカの架空の国家「クシュ」を舞台にした小説で、アップダイクの異色作ともいえる小説です。池澤夏樹氏による個人編集の世界文学全集の一冊…

パール・バック『大地』

パール・バック 新居格訳・中野好夫補訳 『大地』 新潮文庫 パール・バック(1892-1973)の『大地』を読了しました。アメリカに生まれながら宣教師である両親のもとで幼少期を中国で過ごした彼女が、中国の大地に生きた王家三代のクロニクルを描いた作品です…

マイクル・コナリー『贖罪』

マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『贖罪』 講談社文庫 マイクル・コナリー(1956-)の『贖罪』を読了しました。ハリー・ボッシュシリーズの第十八作目の作人です。意外な真相というものはないのですが、相変わらずのページターナーぶりを堪能できる作品です。…

ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『夏の夜の夢』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『夏の夜の夢』を読了しました。妖精パックの「ほれ薬」が巻き起こす人違いの求愛行動や、全編を通して感じられる祝祭的な雰囲気が何とも…