文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

コリン・デクスター『謎まで三マイル』

コリン・デクスター 大庭忠男訳 『謎まで三マイル』 ハヤカワ文庫 コリン・デクスター(1930-2017)の『謎まで三マイル』を読了しました。思考の霧の中を彷徨うことで事件の捜査を行うモース主任警部を主人公とするミステリ作品の一作です。いみじくも本書の…

アリ・スミス『冬』

アリ・スミス 木原善彦訳 『冬』 新潮社 アリ・スミス(1962-)の『冬』を読了しました。『秋』に続く四季をタイトルに冠した小説作品群の第二作目となります。シリーズ全体を通して登場人物などに緩やかな繋がりがありつつ、時事を小説世界の中に取り込みな…

カズオ・イシグロ『忘れられた巨人』

カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 『忘れられた巨人』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロ(1954-)の『忘れられた巨人』を読了しました。ハードカバーで刊行された当時に読んで以来、訳7年振りの再読となりました。物語の鍵となる霧の存在感とそれがもたらす忘却の…

『ヘンリー・ジェイムズ作品集2 ポイントンの蒐集品 メイジーの知ったこと 檻の中』

大西昭男 多田敏男 川西進 青木次生 訳 『ヘンリー・ジェイムズ作品集2 ポイントンの蒐集品 メイジーの知ったこと 檻の中』 国書刊行会 『ヘンリー・ジェイムズ作品集2 ポイントンの蒐集品 メイジーの知ったこと 檻の中』を読了しました。収録作品のうち「ポ…

ヘミングウェイ『誰がために鐘は鳴る』

ヘミングウェイ 高見浩訳 『誰がために鐘は鳴る』 新潮文庫 ヘミングウェイ(1899-1961)の『誰がために鐘は鳴る』を読了しました。左派と右派に別れて苛烈な争いが行われたスペイン内戦を舞台にした小説で、長編第一作である『日はまた昇る』に続いて、スペ…

スティーヴン・キング『ダークタワー Ⅳ-1/2 鍵穴を吹き抜ける風』

スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワー Ⅳ-1/2 鍵穴を吹き抜ける風』 角川文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ダークタワー Ⅳ-1/2 鍵穴を吹き抜ける風』を読了しました。本書はシリーズが完結に至った後に書かれた、いわばスピンオフのような位…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』

J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』を読了しました。シリーズ五作目となる本書ですが、この作品くらいからシリーズを原作とした映画作品の方にはまったく触…

スティーヴン・キング『ダークタワー Ⅳ 魔道師と水晶球』

スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワー Ⅳ 魔道師と水晶球』 角川文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『ダークタワー Ⅳ 魔道師と水晶球』を読了しました。前作の『荒地』においてまるで中途半端なままに打ち切られた、知性を持つ高速モノレール〈…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』

J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』を読了しました。シリーズ四作目となる本書は、ストーリー展開もこれまでの三冊とはいささか趣向が変わっていて、シリー…

レイ・ブラッドベリ『火星年代記〔新版〕』

レイ・ブラッドベリ 『火星年代記〔新版〕』 レイ・ブラッドベリ(1920-2012)の『火星年代記〔新版〕』を読了しました。単行本としては1950年に発表されたSF小説の古典ともいえる作品ですが、本書は「新版」と銘打たれているように、1997年になってから作者…

H・P・ラヴクラフト『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』

H・P・ラヴクラフト 南條竹則編訳 『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』 新潮文庫 H・P・ラヴクラフト(1890-1937)の『狂気の山脈にて クトゥルー神話傑作選』を読了しました。新潮スタークラシックスと銘打って海外文学の古典新訳が不定期で刊行されて…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』を読了しました。良くいえば定番のプロット、悪くいえば同工異曲ともいえる展開ではあるのですが、それでも少しずつ…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと秘密の部屋』

J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと秘密の部屋』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターと秘密の部屋』を読了しました。魔法学校に通うハリー・ポッターを主人公とするファンタジーシリーズの第二作品目です。黒幕の存在を完全には気…

タチアナ・ド・ロネ『サラの鍵』

タチアナ・ド・ロネ 高見浩訳 『サラの鍵』 新潮社 タチアナ・ド・ロネ(1961-)の『サラの鍵』を読了しました。本書カバーに記されたプロフィールによると、作者はパリ郊外で生まれパリとボストンで育ち、イギリスのイースト・アングリア大学で英文学を学ん…

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』

J・K・ローリング 松岡佑子訳 『ハリー・ポッターと賢者の石』 静山社 J・K・ローリングの『ハリー・ポッターと賢者の石』を読了しました。映画を見た記憶はあるのですが、原作シリーズを読むのは初めてとなります。読んでみて強く感じられたのは伏線の仕掛…

モーシン・ハミッド『コウモリの見た夢』

モーシン・ハミッド 川上純子訳 『コウモリの見た夢』 ランダムハウスジャパン モーシン・ハミッド(1971-)の『コウモリの見た夢』を読了しました。作者の小説を読むのは本書で二冊目となります(現状、翻訳が出版されているのが二冊)。ブッカー賞最終候補…

フィリップ・ロス『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…』

フィリップ・ロス 柴田元幸訳 『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…』 集英社 フィリップ・ロス(1933-2018)の『プロット・アゲンスト・アメリカ もしもアメリカが…』を読了しました。2004年に発表された作品で、作者と“同名”のフィリップ・…

F・スコット・フィッツジェラルド『美しく呪われた人たち』

F・スコット・フィッツジェラルド 上岡伸雄訳 『美しく呪われた人たち』 作品社 F・スコット・フィッツジェラルド(1896-1940)の『美しく呪われた人たち』を読了しました。本書が発表されたのは『グレート・ギャツビー』が世に出る3年前の1922年のことで、…

ジェイン・オースティン『マンスフィールド・パーク』

ジェイン・オースティン 中野康司訳 『マンスフィールド・パーク』 ちくま文庫 ジェイン・オースティン(1775-1817)の『マンスフィールド・パーク』を読了しました。19世紀初めに活躍し近代イギリス小説のひとつのピークをなしたオースティンの作品群につい…

マラマッド『マラマッド短編集』

マラマッド 加島祥造訳 『マラマッド短編集』 新潮文庫 バーナード・マラマッド(1914-1986)の『マラマッド短編集』を読了しました。本書は1971年に新潮文庫から刊行されたもので『マラマッド短編集』という邦題が付せられていますが、独自編集された作品集…

コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』

コルソン・ホワイトヘッド 谷崎由依訳 『地下鉄道』 ハヤカワ文庫 コルソン・ホワイトヘッド(1969-)の『地下鉄道』を読了しました。2016年に刊行され、ピュリッツァー賞、全米図書賞をはじめとする数々の文学賞を受賞した話題の作品である本書は、作者にと…

J・ケルアック『孤独な旅人』

J・ケルアック『孤独な旅人』 J・ケルアック(1922-1969)の『孤独な旅人』を読了しました。本書は1960年に発表された作品で、原題は“The Lonesome Traveller”です。アメリカ、メキシコ、そしてヨーロッパを巡るケルアックの放浪の物語、そして鉄道や山火事…

イーヴィリン・ウォー『回想のブライズヘッド』

イーヴィリン・ウォー 小野寺健訳 『回想のブライズヘッド』 岩波文庫 イーヴィリン・ウォー(1903-1966)の『回想のブライズヘッド』を読了しました。原題は“Brideshead Revisited”で、文字通りに訳すと「ブライズヘッド再訪」となります。そのタイトルが表…

ジェフリー・ディーヴァー『スキン・コレクター』

ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子訳 『スキン・コレクター』 文春文庫 ジェフリー・ディーヴァーの『スキン・コレクター』を読了しました。科学捜査のスペシャリストであるリンカーン・ライムを主人公とするミステリーシリーズの一作です。ページターナ…

タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』

タナハシ・コーツ 池田年穂訳 『世界と僕のあいだに』 慶應義塾大学出版会 タナハシ・コーツの『世界と僕のあいだに』を読了しました。最近では小説作品も邦訳されましたが、ジャーナリストであり2016年の『タイム』誌が発表する「世界で最も影響力のある100…

ジョナサン・フランゼン『コレクションズ』

ジョナサン・フランゼン 黒原敏行訳 『コレクションズ』 ハヤカワ文庫 ジョナサン・フランゼン(1959-)の『コレクションズ』を読了しました。2001年に発表されたフランゼンの第三作目の小説である本書は全米図書賞受賞作となり、その他にも数々の賞を受賞し…

マイクル・コナリー『汚名』

マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『汚名』 講談社文庫 マイクル・コナリー(1956-)の『汚名』を読了しました。ハリー・ボッシュを主人公とするシリーズ小説作品です。第何作目にあたるのかは分からなくなってしまいましたが。原題は“Two Kinds of Truth”です…

ウィリアム・シェイクスピア『テンペスト』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『テンペスト』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『テンペスト』を読了しました。以前「あらし」という邦題で新潮文庫にて読んだ記憶があるのですが、それ以来の読書となります。昔に読ん…

カート・ヴォネガット『スラップスティック』

カート・ヴォネガット 浅倉久志訳 『スラップスティック』 ハヤカワ文庫 カート・ヴォネガット(1922-2007)の『スラップスティック』を読了しました。1976年に発表された長編小説です。本書では、主人公であるウィルバー(プロローグにはめ込まれた「枠」を…

チャック・パラニューク『ファイト・クラブ』

チャック・パラニューク 池田真紀子訳 『ファイト・クラブ』 ハヤカワ文庫 チャック・パラニューク(1962-)の『ファイト・クラブ』を読了しました。デヴィッド・フィンチャー監督のもとブラッド・ピットが主演して大ヒットした映画については、私は未視聴だ…