文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

カズオ・イシグロ『クララとお日さま』

カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 『クララとお日さま』 早川書房 カズオ・イシグロの『クララとお日さま』を読了しました。原題は“Klara and the Sun”です。ノーベル文学賞受賞第一作と謳われる本書のテーマは「AI」で、同じく現代イギリスを代表する作家のひと…

フランク・マコート『アンジェラの灰』

フランク・マコート 土屋政雄訳 『アンジェラの灰』 新潮文庫 フランク・マコート(1930-2009)の『アンジェラの灰』を読了しました。アイルランド系アメリカ人であるマコートが、アイルランドのリムリックで過ごした少年時代を回想して描いた自伝的小説(「…

マイクル・コナリー『レイトショー』

マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『レイトショー』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『レイトショー』を読了しました。マイケル・ボッシュを主人公とする一連のシリーズで知られるコナリーですが、今回の作品はロス市警に勤める女性刑事レネイ・バラードを主…

『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選(3)』

亀井俊介訳 『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選(3)』 岩波文庫 『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選(3)』を読了しました。ポー、ホイットマン、フロストなどの対訳も刊行されている岩波文庫の対訳アメリカ詩人選集ですが、今回読むのはエミリー…

ウィリアム・トレヴァー『ラスト・ストーリーズ』

ウィリアム・トレヴァー 栩木伸明訳 『ラスト・ストーリーズ』 国書刊行会 ウィリアム・トレヴァー(1928-2016)の『ラスト・ストーリーズ』を読了しました。アイルランド出身の作家トレヴァーの最後の作品集が本書で、10編の短編作品が収録されています。掬…

J・G・バラード『太陽の帝国』

J・G・バラード 山田和子訳 『太陽の帝国』 創元SF文庫 J・G・バラード(1930-2009)の『太陽の帝国』を読了しました。『ハイ・ライズ』以来の読書となる二冊目のバラード作品は、1934年に発表されてブッカー賞候補作ともなったベストセラー作品で、バラード…

フォークナー『八月の光』

フォークナー 諏訪部浩一訳 『八月の光』 岩波文庫 フォークナー(1897-1962)の『八月の光』を読了しました。1932年に発表された作品でヨクナパトーファ・サーガの一作とされますが、原題である“Light in August”は当初は“Dark House”であったといわれます…

イアン・マキューアン『恋するアダム』

イアン・マキューアン 村松潔訳 『恋するアダム』 新潮社 イアン・マキューアン(1948-)の『恋するアダム』を読了しました。原題は“Machines Like Me”で、相変わらず意訳したタイトルをつけるのはマキューアン作品翻訳の定番なのでしょうか。マキューアン自…

スティーヴン・キング『アトランティスのこころ』

スティーヴン・キング 白石朗訳 『アトランティスのこころ』 新潮文庫 スティーヴン・キング(1947-)の『アトランティスのこころ』を読了しました。1999年に発表された作品で2001年には映画化されているようです。時系列に沿って並べられた複数の中短編作品…

『ヘンリージェイムズ作品集1 ある婦人の肖像』

行方昭夫訳 『ヘンリージェイムズ作品集1 ある婦人の肖像』 国書刊行会 『ヘンリージェイムズ作品集1 ある婦人の肖像』を読了しました。1881年に発表されたヘンリー・ジェイムズ(1843-1916)の代表作で、アメリカ人女性イザベル・アーチャーを主人公とする…

スタインベック『ハツカネズミと人間』

スタインベック 大浦暁生訳 『ハツカネズミと人間』 新潮文庫 スタインベック(1902-1968)の『ハツカネズミと人間』を読了しました。ゲイリー・シニーズ主演(監督も務めていたそうですが)の映画のシーンが印刷された文庫本のカバーが印象に残っているので…

コリン・デクスター『ジェリコ街の女』

コリン・デクスター 大庭忠男訳 『ジェリコ街の女』 ハヤカワ文庫 コリン・デクスター(1930-)の『ジェリコ街の女』を読了しました。原題は“The Dead of Jericho”です。頭の中で捏ねられる論理によって操作を行う異色の警官を主人公とした「モース警部」シ…

ジェフリー・ユージェニデス『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』

ジェフリー・ユージェニデス 佐々田雅子訳 『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』 ハヤカワ文庫 ジェフリー・ユージェニデス(1960-)の『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』を読了しました。原題は“The Virgin Suicides”で、ほぼオリジナルと言っても…

J・D・サリンジャー『ナイン・ストーリーズ』

J・D・サリンジャー 柴田元幸訳 『ナイン・ストーリーズ』 ヴィレッジブックス J・D・サリンジャー(1919-2010)の『ナイン・ストーリーズ』を読了しました。3年ほど前に新潮文庫の野崎氏の訳で読んだのですが(さらにその昔、高校生の頃にも読んだ記憶があ…

アリ・スミス『秋』

アリ・スミス 木原善彦訳 『秋』 新潮社 アリ・スミス(1962-)の『秋』を読了しました。現代イギリスで注目すべき作家のひとりであるアリ・スミスの作品で、ブッカー賞候補作ともなったのが本書の帯には「最初の『ポスト・ブレグジット』小説」とあります。…

アン・ビーティ『燃える家』

アン・ビーティ 亀井よし子訳 『燃える家』 ブロンズ新社 アン・ビーティ(1947-)の『燃える家』を読了しました。優れた短編作家として知られるアン・ビーティですが、以前に「ニューヨーカー」掲載作品のアンソロジーで読んだ作品の切れ味があまりに見事で…

スコット・フィッツジェラルド『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』

スコット・フィッツジェラルド 村上春樹編訳 『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』 中央公論新社 『ある作家の夕刻 フィッツジェラルド後期作品集』を読了しました。フィッツジェラルドの晩年にあたる1930年代に書かれた小説とエッセイを、村上…

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『アメリカーナ』

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ くぼたのぞみ訳 『アメリカーナ』 河出文庫 チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ(1977-)の『アメリカーナ』を読了しました。アディーチェはナイジェリアの作家で、2013年に発表された長編第三作である本書は全米批評家…

ウィリアム・ギャディス『JR』

ウィリアム・ギャディス 木原善彦訳 『JR』 国書刊行会 ウィリアム・ギャディス(1922-1998)の『JR』を読了しました。1975年に発表された本書の原題は“JR FAMILY OF COMPANIES”で、11歳の少年JRがひょんなことから手にした株式をもとに巨大コングロマリット…

J・アップダイク『日曜日だけの一カ月』

J・アップダイク 井上謙治訳 『日曜日だけの一カ月』 新潮社 J・アップダイク(1932-2009)の『日曜日だけの一カ月』を読了しました。原題は“A Month of Sundays”で発表されたのは1975年のこと、ちょうど中期の作品といってよいのでしょうか。牧師の姦通とい…

ブレット・イーストン・エリス『アメリカン・サイコ』

ブレット・イーストン・エリス 小川高義訳 『アメリカン・サイコ』 角川文庫 ブレット・イーストン・エリス(1964-)の『アメリカン・サイコ』を読了しました。かつて映画化もされて良くも悪くも話題になった作品ですが、それから20年以上経ってからの読書と…

ジョン・アーヴィング『また会う日まで』

ジョン・アーヴィング 小川高義訳 『また会う日まで』 新潮社 ジョン・アーヴィング(1942-)の『また会う日まで』を読了しました。2005年に発表されたアーヴィングの11作目の長編小説で、原題は“Until I Find You”です。父を知らずに育った主人公のジャック…

スティーヴン・ミルハウザー『三つの小さな王国』

スティーヴン・ミルハウザー 柴田元幸訳 『三つの小さな王国』 白水Uブックス スティーヴン・ミルハウザー(1943-)の『三つの小さな王国』を読了しました。1993年に発表された本書の原題は“Little Kingdoms”で、三篇の中編作品が収録されています。「J・フ…

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ『私はゼブラ』

アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ 木原善彦訳 『私はゼブラ』 白水社 アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ(1983-)の『私はゼブラ』を読了しました。イラン系アメリカ人である作者が描く、文学に取り付かれた現代のドン・キホーテの物語です。『…

アン・パチェット『ベル・カント』

アン・パチェット 山本やよい訳 『ベル・カント』 ハヤカワ文庫 アン・パチェット(1963-)の『ベル・カント』を読了しました。2001年に発表された本書はPEN/フォークナー賞を受賞しています。南米のとある国を舞台に、日本企業の社長の誕生パーティー会場を…

トム・ジョーンズ『拳闘士の休息』

トム・ジョーンズ 岸本佐知子訳 『拳闘士の休息』 河出文庫 トム・ジョーンズ(1945-2016)の『拳闘士の休息』を読了しました。本書の表題作はトム・ジョーンズのデビュー作で『ニューヨーカー』への持ち込み原稿が編集者の目に留まり発表されると、1993年の…

バーナード・マラマッド『レンブラントの帽子』

バーナード・マラマッド 小島信夫・浜本武雄・井上謙治訳 『レンブラントの帽子』 夏葉社 バーナード・マラマッド(1914-1986)の『レンブラントの帽子』を読了しました。『レンブラントの帽子』は1973年にニューヨークの出版社から刊行された、マラマッドの…

レイモンド・チャンドラー『リトル・シスター』

レイモンド・チャンドラー 村上春樹訳 『リトル・シスター』 ハヤカワ文庫 レイモンド・チャンドラー(1888-1959)の『リトル・シスター』を読了しました。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする七つの長編作品のうち、1949年に発表された五作目にあた…

フィリップ・ロス『グッバイ、コロンバス』

フィリップ・ロス 中川五郎訳 『グッバイ、コロンバス』 朝日出版社 フィリップ・ロス(1933-2018)の『グッバイ、コロンバス』を読了しました。1959年に発表されたこの作品はロスのデビュー作で、全米図書賞も受賞しています。発表されたときは中編作品「グ…

H・P・ラヴクラフト『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』

H・P・ラヴクラフト 南條竹則訳 『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』 新潮文庫 H・P・ラヴクラフト(1890-1937)の『インスマスの影 クトゥルー神話傑作選』を読了しました。新潮スタークラシックスと題された、新潮文庫における海外文学の新訳シリーズ…