文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

英米文学

ジェフリー・ディーヴァー『悪魔の涙』

ジェフリー・ディーヴァー 土屋晃訳 『悪魔の涙』 文春文庫 ジェフリー・ディーヴァーの『悪魔の涙』を読了しました。映画化もされた『ボーン・コレクター』をはじめとする、四肢麻痺の科学捜査官リンカーン・ライムを主人公とするシリーズ作品が有名なディ…

ウィリアム・シェイクスピア『十二夜』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『十二夜』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『十二夜』を読了しました。かなり昔に岩波文庫の翻訳で読んだ記憶があるのですが、今回は白水社から出版されている小田島氏による翻訳での再…

カート・ヴォネガット『国のない男』

カート・ヴォネガット 金原瑞人訳 『国のない男』 中公文庫 カート・ヴォネガット(1922-2007)の『国のない男』を読了しました。本書は2005年に刊行されたヴォネガットの遺作となった作品で、当時のアメリカの(というよりも世界の)社会情勢も踏まえたユー…

ウラジーミル・ナボコフ『ロリータ 魅惑者』

ウラジーミル・ナボコフ 若島正・後藤篤訳 『ロリータ 魅惑者』 新潮社 ウラジーミル・ナボコフ(1899-1977)の『ロリータ 魅惑者』を読了しました。新潮社から刊行されたナボコフ・コレクションの五巻目に当たる本書には、若島正氏による翻訳にロシア語版と…

マイクル・コナリー『訣別』

マイクル・コナリー 古川嘉通 『訣別』 講談社文庫 マイクル・コナリーの『訣別』を読了しました。2016年に刊行されたハリー・ボッシュシリーズ作品です。原題は“The Wrong Side of Goodbye”で、チャンドラーの『ロング・グッドバイ』が想起されます。ロサン…

ヒュー・ロフティング『ドリトル先生航海記』

ヒュー・ロフティング 福岡伸一訳 『ドリトル先生航海記』 新潮文庫 ヒュー・ロフティング(1886-1947)の『ドリトル先生航海記』を読了しました。「ドリトル先生」シリーズは、イギリス生まれの土木技師である作者が娘と息子のために書いた物語が原型となっ…

ヘンリ・ミラー『北回帰線』

ヘンリ・ミラー 大久保康雄訳 『北回帰線』 新潮文庫 ヘンリ・ミラー(1891-1980)の『北回帰線』を読了しました。パリ滞在中の1934年に発表された本書は彼の処女作であり代表作で、作家の魂の声が打ち込まれた作品になっています。作家自身は本書を「これは…

スティーヴ・エリクソン『きみを夢みて』

スティーヴ・エリクソン 越川芳明訳 『きみを夢みて』 ちくま文庫 スティーヴ・エリクソン(1950-)の『きみを夢みて』を読了しました。原題は“These Dreams Of You”でヴァン・モリソンが1970年に発表したアルバムの収録曲名から取られています。2007年にエ…

アリス・マンロー『ディア・ライフ』

アリス・マンロー 小竹由美子訳 『ディア・ライフ』 新潮社 アリス・マンロー(1931-)の『ディア・ライフ』を読了しました。2012年に発表された本書は「最新最後の短編集」と銘打たれています。2013年6月に執筆生活からの引退を明言したアリス・マンローは…

アップダイク『クーデタ』

アップダイク 池澤夏樹訳 『クーデタ』 河出書房新社 アップダイク(1932-2009)の『クーデタ』を読了しました。アフリカの架空の国家「クシュ」を舞台にした小説で、アップダイクの異色作ともいえる小説です。池澤夏樹氏による個人編集の世界文学全集の一冊…

パール・バック『大地』

パール・バック 新居格訳・中野好夫補訳 『大地』 新潮文庫 パール・バック(1892-1973)の『大地』を読了しました。アメリカに生まれながら宣教師である両親のもとで幼少期を中国で過ごした彼女が、中国の大地に生きた王家三代のクロニクルを描いた作品です…

マイクル・コナリー『贖罪』

マイクル・コナリー 古沢嘉通訳 『贖罪』 講談社文庫 マイクル・コナリー(1956-)の『贖罪』を読了しました。ハリー・ボッシュシリーズの第十八作目の作人です。意外な真相というものはないのですが、相変わらずのページターナーぶりを堪能できる作品です。…

ウィリアム・シェイクスピア『夏の夜の夢』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『夏の夜の夢』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『夏の夜の夢』を読了しました。妖精パックの「ほれ薬」が巻き起こす人違いの求愛行動や、全編を通して感じられる祝祭的な雰囲気が何とも…

ドン・デリーロ『ボディ・アーティスト』

ドン・デリーロ 上岡伸雄訳 『ボディ・アーティスト』 ちくま文庫 ドン・デリーロ(1936-)の『ボディ・アーティスト』を読了しました。2001年に発表された作品で、文庫本の翻訳で約200ページほどの分量です。 タイトルとなっている「ボディ・アーティスト」…

フィリップ・K・ディック『死の迷路』

フィリップ・K・ディック 山形浩生訳 『死の迷路』 ハヤカワ文庫 フィリップ・K・ディック(1928-1982)の『死の迷路』を読了しました。1970年に発表された作品で、ディック最盛期の作品と言ってよいのでしょうか。本書の帯には恩田陸氏による推薦文として「…

ウィリアム・シェイクスピア『じゃじゃ馬ならし』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳 『じゃじゃ馬ならし』 白水Uブックス ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『じゃじゃ馬ならし』を読了しました。学生の頃に新潮文庫の翻訳で読んだ記憶があるのですが、細かい筋立てはすっかり忘れてしまっ…

J・D・サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア―序章―』

J・D・サリンジャー 野崎孝・井上謙治訳 『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア―序章―』 新潮文庫 J・D・サリンジャー(1919-2010)の『大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア―序章―』を読了しました。いわゆる「グラース家サーガ」で描かれる七人兄弟の…

ジェイムズ・エルロイ『ブラック・ダリア』

ジェイムズ・エルロイ 吉野美恵子訳 『ブラック・ダリア』 文春文庫 ジェイムズ・エルロイ(1948-)の『ブラック・ダリア』を読了しました。長い間、本棚に置いたまま読むことがなかった本なのですが、何となくこのタイミングで手に取って読み進めることにな…

ティム・オブライエン『世界のすべての七月』

ティム・オブライエン 村上春樹訳 『世界のすべての七月』 文春文庫 ティム・オブライエン(1946-)の『世界のすべての七月』を読了しました。原題は"July, July"で、2002年に発表されています。同じく文春文庫から刊行されている『本当の戦争の話をしよう』…

シオドア・スタージョン『輝く断片』

シオドア・スタージョン 大森望編 『輝く断片』 河出文庫 シオドア・スタージョン(1918-1985)の『輝く断片』を読了しました。スタージョンはSFファンのみならず、いわゆる主流文学の文脈においても(近年)評価の高い作家です。本書にはなかなかに振り切っ…

ジーン・ウェブスター『続あしながおじさん』

ジーン・ウェブスター 畔柳和代訳 『続あしながおじさん』 新潮文庫 ジーン・ウェブスター(1876-1916)の『続あしながおじさん』を読了しました。児童文学の名作『あしながおじさん』の続編にあたる作品です。しかしながら、主人公は前作のジュディから孤児…

ジェニファー・イーガン『ならずものがやってくる』

ジェニファー・イーガン 谷崎由依 『ならずものがやってくる』 ハヤカワ文庫 ジェニファー・イーガン(1962-)の『ならずものがやってくる』を読了しました。2011年のピュリッツァー賞受賞作である本書は、音楽のコンセプトアルバムを形作るように配列された…

アリス・マンロー『林檎の木の下で』

アリス・マンロー 小竹由美子訳 『林檎の木の下で』 新潮社 アリス・マンロー(1931-)の『林檎の木の下で』を読了しました。2006年に発表された本書はスコットランドから海を渡ってアメリカ大陸へと移住したマンローの家系の歴史を綴る短編集です。原書のタ…

バーネット『秘密の花園』

フランシス・ホジソン・バーネット 畔柳和代訳 『秘密の花園』 新潮文庫 フランシス・ホジソン・バーネット(1849-1924)の『秘密の花園』を読了しました。『小公女』の著者でもあるバーネットが1911年に刊行した小説です。イギリス植民地時代のインドに暮ら…

グレアム・グリーン『情事の終り』

グレアム・グリーン 上岡伸雄訳 『情事の終り』 新潮文庫 グレアム・グリーン(1904-1991)の『情事の終り』を読了しました。ミステリ小説の書き手というイメージがあるのがグリーンという作家だと思うのですが、いわゆる主流文学の文脈でも評価が高まってい…

ヘミングウェイ『蝶々と戦車・何を見ても何かを思いだす ―ヘミングウェイ全短編3―』

ヘミングウェイ 高見浩訳 『蝶々と戦車・何を見ても何かを思いだす ―ヘミングウェイ全短編3―』 新潮文庫 ヘミングウェイ(1899-1961)の『蝶々と戦車・何を見ても何かを思いだす ―ヘミングウェイ全短編3―』を読了しました。キューバでの暮らし、スペイン内戦…

トニ・モリスン『青い眼がほしい』

トニ・モリスン 大社淑子訳 『青い眼がほしい』 ハヤカワ文庫 トニ・モリスン(1931-2019)の『青い眼がほしい』を読了しました。1993年にノーベル文学賞を受賞したトニ・モリスンですが、1970年に発表された本書は彼女のデビュー作で。ある黒人家庭に預けら…

ウィリアム・バロウズ『裸のランチ』

ウィリアム・バロウズ 鮎川信夫訳 『裸のランチ』 河出文庫 ウィリアム・バロウズ(1914-1997)の『裸のランチ』を読了しました。あらためてバロウズの経歴を調べてみるとハーバード大学の英文学専攻ということで、文学エリートを思わせる華やかな学歴と、猥…

スティーヴン・キング『ダークタワーⅡ 運命の三人』

スティーヴン・キング 風間賢二訳 『ダークタワーⅡ 運命の三人』 角川文庫 スティーヴン・キングの『ダークタワーⅡ 運命の三人』を読了しました。ダークファンタジーという世界観にはやはり馴染めぬところがあるものの、異世界を主な舞台とした前作から一転…

カズオ・イシグロ『夜想曲集』

カズオ・イシグロ 土屋政雄訳 『夜想曲集』 ハヤカワ文庫 カズオ・イシグロの『夜想曲集』を読了しました。現在のところ、刊行されている唯一の短編集ということになるのでしょうか。「音楽と夕暮れを巡る五つの物語」という副題が示すとおり、音楽を重要な…