『嵐が丘』は中学か高校の頃に角川文庫で読んだ記憶があるのですが、そのときの感想はたしか「何かよく解らない話だな」というものでした。とにかく登場人物の誰にも感情移入できなくて、主人公らしきヒースクリフは良いやつなのか悪いやつなのか解らないし、似たような名前の登場人物が世代を超えて登場するために頭が混乱し、あまり面白く読むことはできなかったようです。
今回ひさしぶりに岩波文庫で再読してみて、ストーリーはなるほど面白く引き付けられるものがありました。舞台化されたり翻案されてドラマ化されたりするのも、さもありなんというところです。思えば中学生の頃に同級生の女の子が愛読書として『嵐が丘』の名前を挙げていたのですが、この物語には少女漫画チックなところもあるのかもしれません。
復讐の鬼と化したヒースクリフには相変わらず感情移入することはできませんでしたが、ヘアトンの人物造形やヒースクリフとの関係性にはおやっと思わされるところがありました。ヒースクリフが文学史上における類まれなるアンチヒーローとして人気があることにも納得がいきました。
【満足度】★★★☆☆