文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

サキ『サキ短編集』

サキ 中村能三訳

『サキ短編集』 新潮文庫

 

サキ(1870-1916)の短編集を読了しました。短編の名手として知られるサキですが、実際に作品を読んだのは今回が初めてでした。サキというのは筆名で、ペルシアの詩人・オマル・ハイヤーム(1048-1131)の『ルバイヤート』に出てくる酒姫(サーキー)に由来するものだということも初めて知りました(由来については諸説あるようですが)。

 

作品を読んだ感想は、面白いような、そうでもないような、何とも曖昧な感じというのが正直なところでした。フィニッシング・ストロークであっと言わせる作品があったり(「二十日鼠」「宵闇」)、ブラックで皮肉なユーモアの効いた作品があったり(「話上手」「七つのクリーム壺」)、佳品揃いで楽しむことができたのですが、どことなく物足りない感じも残りました。

 

本書は文庫本で200ページ強、21の短編が収録されていますが、もしかするとこれでは分量が足りなかったのかもしれません。サキの作品はショート・ショートを読むように、もっともっとたくさんの作品を気軽に楽しむ読み方の方が、その魅力が引き立つのではないかと感じた次第です。白水Uブックスからもたくさん翻訳が出ているようなので、今度はそちらを読んでみようかなと思います。

 

【満足度】★★★☆☆