文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

N・R・ハンソン『科学的発見のパターン』

N・R・ハンソン 村上陽一郎

『科学的発見のパターン』 講談社学術文庫

 

 

ノーウッド・ラッセル・ハンソン(1924-1967)の『科学的発見のパターン』を読了しました。最近は文学作品を離れて哲学関連の本を読むことが増えてきましたが、その時々の興味関心が高いものを読むことが良い読書体験につながるのではないかと考えて、気持ちの赴くままに本を手に取っています。

 

ノーウッド・ラッセル・ハンソンはアメリカの科学哲学者です。「観察の理論負荷性」を提唱した人物として、分析哲学・科学哲学の入門書によく登場するのですが、実際の著書を読んだことはなかったため、このたび実際に目を通しておきたいと考えた次第です。序論で「本書は、ミクロな対象を扱う物理学的思考法のもつ哲学的な諸相の解明に重点を置いている」と述べられる通り、本書の本懐は素粒子物理学を哲学的な側面から解明することにあようですが、そこに至るまでの科学史の振り返りや、「観察」や「事実」などをめぐる議論の中で、「観察の理論負荷性」という主張に代表されるハンソンの基本的な考え方が披露されていきます。そして、いよいよ素粒子物理学の話になったときには、ちょっと私の理解が及ばずに斜め読みになってしまうという結末が待っていたのでした。

 

勉強しなければと感じることが年々増えてきているような気がします。読みたい本もまだ本棚に山のように積まれています。残りの人生でどこまでのところに到達できるでしょうか…

 

【満足度】★★★☆☆