カント 篠田英雄訳
カント（1724-1804）の『プロレゴメナ』を読了しました。本書のタイトルを正確に表すと『学として登場しうる将来の形而上学のためのプロレゴメナ（序論）』となります。カントのいう「形而上学」は、純粋数学や純粋自然学を必当然的なものとして基礎づけるもので、その学としての可能性を追求したのが『純粋理性批判』だとすると、要するにこの『プロレゴメナ』は『純粋理性批判』の見取り図を描いたものであるともいえることになります。入手が容易であるという一事をもって、岩波文庫の『プロレゴメナ』を手に取りました。
通読して感じたのは、やはり『純粋理性批判』をよく理解するためにはそちらを読まなければならないということ。本書の序言におけるヒュームに関する言及など、より突っ込んだ記述がみられる箇所もあるものの、全体としては本書だけを読んでもカント理解においては極めて不徹底ということになるのでしょう。というわけで『純粋理性批判』も読み始めたわけですが、果たして読み終えるのはいつのことになるのでしょうか。
【満足度】★★★☆☆
