文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ウィリアム・シェイクスピア『マクベス』

ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志

マクベス』 白水Uブックス

 

ウィリアム・シェイクスピア(1564-1616)の『マクベス』を読了しました。以前に読んだのは岩波文庫の翻訳だったような気がしますが、『リア王』や『オセロ』、あるいは『ハムレット』等の作品と比べると、何となくぼんやりとした印象しかありませんでした。

 

マクベスを使嗾する魔女のセリフ(本書の訳者である小田島氏は「いいは悪いで悪いはいい」と訳しています)や、知の幻影に戦慄するマクベス夫人の姿、そして動くはずのないバーナムの森の鳴動など、見知った場面が次々に現れるのですが、その凝縮感が前回の読書時には少々目まぐるしすぎたのでしょうか。今回は純粋に楽しく読むことができたような気がします。「女から生まれた」ものに対しては不死身であるはずのマクベスが、それでもマクダフに打ち倒されてしまうクライマックスまで、見どころ満載でした。舞台で演じられる様も見てみたいと感じさせられます。

 

【満足度】★★★★☆