文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

金森修『現代思想の冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』

金森修

現代思想冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』 講談社

 

金森修の『現代思想冒険者たち 第05巻 バシュラール―科学と詩』を読了しました。この「現代思想冒険者たち」シリーズには思い入れがあって、現在ではどれも重版品切れになってしまっているのですが、高校時代に図書館でこのシリーズの幾冊かを読んでいて、とりわけ『ハイデガー』に魅了されて哲学への興味を喚起させられたという思いでのシリーズなのです。その『ハイデガー』については、講談社学術文庫から新装版が出版されているのですが。

 

本書『バシュラール』は哲学の本流の中ではあまり語られることのない思想家で、一方では科学哲学者でありながら、一方では詩論を展開するという何とも振れ幅の広い人物です。そのいずれも独学ということもあって、どうしてもメインストリームからは遠い場所で語られる存在になってしまっているのでしょうか。私自身も本書を読むまでは彼についてほとんど知識はなかったのですが、彼の思想の全位相を丁寧に追った本書の論述に触発されて、いくつかバシュラールの著作も読んでみたいと感じたのでした。

 

【満足度】★★★★☆