ギュスターヴ・フローベール(1821-1880)の『ボヴァリー夫人』を読了しました。大学時代に読んだのは、たしか岩波文庫の翻訳だったと思うのですが、今回は新潮文庫スタークラシックスの新訳での読書となりました。訳者による自由間接話法に関する解説はまったくの初耳で、訳者解説を読んだ後に興味深く読書に取り組むことができました。
初回の読書のときに印象に残ったのは、ひたすら主人公であるボヴァリー夫人・エンマの悲劇だったのですが、今回はその周囲の人物に気を惹かれることになりました。善良ではあるが凡庸な夫シャルル、典型的な遊び人であるロドルフ、若い間男のレオン、セールスマンのルルー、俗的なものを代表する存在であるオメー夫妻など、カラフルな登場人物たちによる物語は、現代の連続テレビドラマを見るような展開で進んでいきます。これが「芸術」なのかといわれると、正直私にはよくわからなかったのですが。
【満足度】★★★☆☆