文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョージ・ソーンダーズ『リンカーンとさまよえる霊魂たち』

ジョージ・ソーンダーズ 上岡伸雄訳

リンカーンとさまよえる霊魂たち』 河出書房新社

 

ジョージ・ソーンダーズ(1958-)の『リンカーンとさまよえる霊魂たち』を読了しました。本書は2017年のブッカー賞受賞作で、かなり話題になった本です。帯には「全米ベストセラー」、「ビル・ゲイツの『この夏読むべき5冊」にも選出!」などの宣伝文句が踊っています。いわゆるメインストリーム・純文学の作品として評価されつつも、単純に読んで面白いことが強調されているように見受けられます。

 

そんな本書が単純に読んで面白いかという点についていえば、まぁ面白いとは思います。あの手この手で読者のニーズを満たすエンターテイメント作品には敵わないとは思いますが、霊魂たちの無数の会話からなるストーリーは十分に読者を楽しませてくれるものになっています。ただ、私にとっては読む前の期待値が上がりすぎてしまったのか、もう少し別の何かを期待してしまっていたのか、いずれにしてもあまり予断を持って作品に臨むのは良くないと感じさせられる読書体験となりました。

 

ソーンダーズの別の作品について、また読んでみたいと思います。入手しやすそうな本はなさそうな状況でしたが。

 

【満足度】★★★☆☆