文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

カルヴィーノ『パロマー』

カルヴィーノ 和田忠彦訳

パロマー』 岩波文庫

 

イタロ・カルヴィーノ(1923-1985)の『パロマー』を読了しました。20世紀を代表するイタリアの作家であるカルヴィーノが晩年に著した作品が本書です。3×3×3の緊密な数学的構造を持った構成で書かれた連作短編集なのですが、そこに登場するパロマーという登場人物の思索に満ちた生活の様子が静かに描かれています。

 

ストーリーテリングというよりは、パロマー氏という不思議な存在者の姿や内面を通して世界の有様を鑑賞するという種類の小説です。不思議な読み心地のする作品で、またふとした瞬間に読み返したくなることを予感させられる本でした。

 

【満足度】★★★☆☆