『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』 ちくま学芸文庫
冨田恭彦の『ロック入門講義 イギリス経験論の原点』を読了しました。著者にとって専門であるロックの思想が平易な表現で丁寧に解説されています。知覚(観念)のヴェール説、心像論的ロック解釈、抽象一般観念批判など、ロックの受容史を紐解きながら、そこに潜む誤読を正していこうというスタイルで論述は進んでいきます。
ロックとローティの類似を解説するくだりになってくると、分析的な論述というよりは一種の思想めいた解説になってくるような気がするのですが、それも含めて著者の個性ということなのでしょうか。いずれにしてもイギリス経験論の歴史に新しい光を当てる著者の業績をわかりやすく知ることができる作品になっています。
【満足度】★★★★☆