文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

チャールズ・ディケンズ『オリヴァー・ツイスト』

チャールズ・ディケンズ 加賀山卓朗訳

『オリヴァー・ツイスト』 新潮文庫

 

チャールズ・ディケンズ(1812-1870)の『オリヴァー・ツイスト』を読了しました。新潮文庫の新訳でディケンズを読むのは、『二都物語』に続いて二冊目です。本作は文豪ディケンズの作品のなかでも初期のものにあたり、彼の出世作とされています。

 

孤児であるオリヴァー・ツイストの苦難、ユダヤ人である老人フェイギンを頭目とする窃盗団の暗躍、乱暴者のサイクスとその愛人であるナンシー、とストーリーのどの部分を取っても断片的には聞いたことがある有名な作品です。あらためて通読してみて、物語の陰と陽がはっきりしているというか、起伏に富んでいるというか、ジェットコースターに押し込められたオリヴァーはただ忙しなく流れていく景色を呆然と眺めているだけで、受身の主人公といわれるのも納得がいきました。

 

【満足度】★★★☆☆