文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

イアン・マキューアン『甘美なる作戦』

イアン・マキューアン 村松潔訳

『甘美なる作戦』 新潮社

 

イアン・マキューアン(1948-)の『甘美なる作戦』を読了しました。原題は“Sweet Tooth”で直訳すれば「甘い歯」ですが、「甘党」というような意味で使われるようです。イギリスの情報機関「MI5」を舞台にした「スパイもの」の小説です。

 

私にとってはあまり「はまらない」読書体験が続いているマキューアンですが、本作は楽しく読むことができました。実在する情報機関の内幕を描いた(ある程度正確なものなか戯画化されたものなのか、実際のところは解らないのですが)お仕事小説としても読むことができる点が単純に面白かったのかもしれません。結末に仕掛けられたトリックについては「そうか」という感じなのですが。結局のところ、主人公セリーナにうまく感情移入ができたというだけのことなのでしょうか。

 

【満足度】★★★★☆