冨田恭彦の『クワインと現代アメリカ哲学』を読了しました。1994年に出版されている本書ですが、内容的には四半世紀を過ぎても古びることなく、クワイン哲学の良い入門書になっていると思います。とりわけカルナップの思想との関係の論述や、体表刺激や観察文に関する(実際クワインに対して行ったインタビューの様子も援用されている)論及など、専門的にクワインの思想を学ぼうという人にとっても助けになるものだと思います。
しかし、著者一押しのローティに関する論述については、どこか隔靴搔痒というか、何とも煮え切らないものを感じてしまうのでした。この違和感はきっと、私がローティの著書自体に取り組むことでしか解消されないのだと思います。
【満足度】★★★★☆