文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジル=ガストン・グランジェ『科学の本質と多様性』

ジル=ガストン・グランジェ 松田克進・三宅岳史・中村大介

『科学の本質と多様性』 文庫クセジュ

 

ジル=ガストン・グランジェ(1920-)の『科学の本質と多様性』を読了しました。「私は何を知るか?」を意味するフランス語の名前が冠せられた、文庫クセジュを読むのは何年ぶりのことでしょうか。

 

著者は現代フランスの科学認識論の第一人者とのこと。最近の日本では英米系の分析哲学・科学哲学の紹介は充実していますが、フランス流の科学哲学である科学認識論の紹介はそれほど十全なものではないような気がします。そんなこともあって、書店で見かけて手に取って、読み始めたのが本書でした。

 

全体的にはバランスの良い科学哲学の入門書というイメージですが、科学的知識と技術知との違いに関する論述や、いわゆる人間科学に関する方法論の分析などは、英米系の科学哲学の教科書に馴染んだ人にとっては新鮮に感じられるのではないかという気がしました。

 

【満足度】★★★★☆