『朗読者』 新潮文庫
ベルンハルト・シュリンク(1944-)の『朗読者』を読了しました。最初に本書を読んだのは新潮クレストブックスから刊行された2000年のことなので、およそ19年ぶりの読書ということになりました。当時はもう少し長い作品のような印象を持っていたのですが、文庫本で250ページほどの比較的短い長編作品です。
ナチスの犯した行為が戦後のドイツ国民に落とした影について、その真のリアリティを感じることは私には難しいのですが、本書はその影に対する光の当て方として一工夫があったのだと思いますし、それがベストセラーになった理由なのだろうと思います。本当に一部の思想家(たとえばアドルノ)が言うように、ホロコーストの後では芸術や文学が形を変えなければいけないのでしょうか。
【満足度】★★★☆☆