文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

島田荘司『盲剣楼奇譚』

島田荘司

『盲剣楼奇譚』 文藝春秋

 

島田荘司の『盲剣楼奇譚』を読了しました。島田氏の作品群の中にあっては、吉敷竹史を主人公とするシリーズの一作という位置づけになりますが、特にシリーズである必然性は感じられず、単発の作品として著されても良かったのではないかと思います。ある女性が描いた「盲剣さま」と呼ばれる美剣士の絵画を発端にして、島田氏お得意の過去の「奇想」が展開されるのですが、その奇想の部分についてはトリックにおいても物語る力の部分においても、以前の作品と比べて衰えばかりが目に付いてしまって、いささか淋しい気分になってしまうのでした。

 

【満足度】★★☆☆☆