文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

藤沢令夫『プラトンの哲学』

藤沢令夫

プラトンの哲学』 岩波新書

 

藤沢令夫の『プラトンの哲学』を読了しました。西洋哲学の源流に位置するプラトンの思想を丁寧に読み解き、解説してくれる入門書。200ページと少しばかりのこの薄い書物の中にどれだけの情報量が詰まっているのかと思わせるほど、内容は濃いものです。アリストテレス以降の定式化によるプラトン理解ではなく、一次文献を参照しながら著者が考える真のプラトン像を提示する名著です。

 

ソクラテスプラトンという位置づけ・図式の整理、プラトンが対話篇にこだわる理由など、著者が「基層」と呼ぶプラトン哲学の根本的な構えに関する説明をはじめ、イデア論の展開に関するプラトン自身の複雑な議論にもしっかり付き合っていて、大変勉強になりました。

 

【満足度】★★★★☆