文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

レーモン・クノー『地下鉄のザジ』

レーモン・クノー 生田耕作

地下鉄のザジ』 中公文庫

 

レーモン・クノー(1903-1976)の『地下鉄のザジ』を読了しました。フランス文学のいわゆる「ヌーヴォー・ロマン」や「ウリポ」の先駆的存在として有名なクノーは『文体練習』などの作品が有名ですが、本書もまた小説作品として、また映画としても展開されて彼の名声を高めました。

 

地方からパリへとやって来た少女ザジは、恋人に会うという母親から叔父のもとに預けられ、ストライキのせいで楽しみにしていた地下鉄にも乗れないままに、奇妙な人物たちとパリの街を舞台にドタバタ劇を繰り広げます。話の展開はナンセンスで、登場人物も個性的。楽しく読むことはできたのですが、少し消化不良な面も残ります。フランス語が堪能であれば、文体まで楽しむことができたのかもしれませんが。

 

【満足度】★★★☆☆