文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョン・ロック『寛容についての手紙』

ジョン・ロック 加藤節・李静和訳

『寛容についての手紙』 岩波文庫

 

ジョン・ロック(1632-1704)の『寛容についての手紙』を読了しました。「寛容」という言葉でイメージされるのは極めて現代的で普遍的なテーマなのですが、本書でロックが問題とするのは、信仰を異にする人々に対する寛容の精神です。そして、この時代にあっては、それは即ち「政教分離」に関する主張ということになるようです。

 

「すべての人が他の人々に認められているのと同じ権利を享受すること」を求めるロックは、信仰(を異にすること)を理由として人々の生命、身体、財産に損害を与えることは認められてはならないとします。「教会の集会や説教が正当化されるのは、それらが日常的に経験され、公的に承認されることによってである」という言説は、経験論者としてのロックの面目躍如といったところでしょうか。

 

【満足度】★★★☆☆