アップダイク 宮本陽吉訳
アップダイク(1932-2009)の『カップルズ』を読了しました。その名前の通り10組の夫婦(カップルズ)が登場して、不倫や夫婦交換などに明け暮れる日々が描かれています。ケネディ大統領暗殺という時代を画する出来事も、彼らの生活に大きな影響を与えることのないままに、緩やかな絶望を抱えながら倦怠のうちに過ぎていく時間。
ここにあるものは一つの時代を象徴するもので、それがリアルに感じられるほどには、まだ「時間が一周回っていない」のかもしれません。ただ本書に限らず、アップダイクが描く夫婦というものに対する幻滅とその再生の物語は、これから人生の後半を生きていく人間にとっての一つの指針になるような気もします。
【満足度】★★★☆☆