文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

J・M・クッツェー『続・世界文学論集』

J・M・クッツェー 田尻芳樹訳

『続・世界文学論集』 みすず書房

 

J・M・クッツェー(1940-)『続・世界文学論集』を読了しました。同じくみすず書房から刊行されている『世界文学論集』の続編ということになるのですが、前作と同様に訳者による選定のもとで、主に最近のクッツェーの評論の仕事からいくつかの作品が本書に収録されています。アルゼンチンの出版社からクッツェーが刊行したというスペイン語版の「個人ライブラリー」の序文が収められているのが面白いところ。彼がどんな作品に影響を受けてきたのかということを、あらためて見て取ることができます。

 

前作の論集に比べると、取り上げられている顔ぶれも、評論の切れ味も若干物足りなさが残ってしまうのですが、それでもクライストをはじめ、あらためて読み直してみたいと思わされる作家が出てくるのは、評論を読むことの醍醐味なのだと思います。

 

【満足度】★★★☆☆