アラン・ソーカル ジャン・ブリクモン 田崎晴明・大野克嗣・堀茂樹訳
『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』 岩波現代文庫
アラン・ソーカル とジャン・ブリクモンの『「知」の欺瞞 ポストモダン思想における科学の濫用』を読了しました。著者が本書において主張したいテーマはその副題が示すように「ポストモダン思想における科学の濫用」で、本書はいわゆる「ソーカル事件」をきっかけとして起こった議論をあらためて整理するかたちでまとめ直された書物です。
ラカンやクリステヴァといった「思想家」たちの著述を引用してみせながら、そこに登場する「科学的」言説がいかに馬鹿げており意味のないものであるかを開陳してみせるソーカル／ブリクモンの筆致は愉快ではあるのですが、一方でここには認識論をめぐる哲学的な「問題」も潜んでいて、科学と科学哲学、そして一部の社会科学を巡る議論にはなかなか根深い問題が潜んでいるのだと感じさせられます。
【満足度】★★★☆☆
