文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ローベルト・ゼーターラー『ある一生』

ローベルト・ゼーターラー 浅井晶子訳

『ある一生』 新潮社

 

ローベルト・ゼーターラー(1966-)の『ある一生』を読了しました。オーストリアの作家・脚本家・俳優であるというローベルト・ゼーターラーが2014年に発表した本書は、ドイツ語圏で80万部を記録するベストセラーになり、ブッカー国際賞の最終候補作にもなったとのこと。

 

アルプスの山と共に生きた一人の男の「ある一生」を描いただけのシンプルな小説なのですが、ちょっとしたエピソードがたしかに胸に残ります。およそ時系列で語られる一生のストーリーですが、少しずつ時制を遡ったり未来の視点を獲得したりしながら叙述されることで、「人生の節目」のようなものを効果的に描くことにも成功しています。

 

【満足度】★★★☆☆