文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ジョルジュ・ペレック『煙滅』

ジョルジュ・ペレック 塩塚秀一郎訳

『煙滅』 水声社

 

ペレックの『煙滅』を読了。ペレックがこの本でたくらんだことを前もって把握せぬまま、この本を読む者はわずかだろうと考えるとすると、過度なネタバレへの恐れは無用なことなのですが、それでも本稿でこの本の核となる部分を述べることはやめます。

 

実際に自分でやってみると本書に仕掛けられたギミックの壮大さと同時に緻密さについて身をもって感じられるわけですが、ジョルジュ・ペレック(1936-1982)はレーモン・クノーが主導した文学実験集団「ウリポ」のメンバーとして活動し、本書はその活動における代表的な著作であると言われています。その文学実験が何であったのかということについては本書をお読みいただくとして、ルール作りも含めた訳者の労をひっくるめて、これはひとつの作品なのだと感じさせられる一冊でした。

 

【満足度】★★★★☆