『さようなら、愛しい人』 ハヤカワ文庫
レイモンド・チャンドラー(1888-1959)の『さようなら、愛しい人』を読了しました。私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とするハードボイルド小説の古典ですが、読むのはたぶん初めてだと思います。しかし、どこかで読んだ記憶が残っているような気がしていて、よくよく考えてみるとパロディの名手である清水義範氏が登場人物表をもとに勝手にストーリーを創造するというユニークな作品を読んだことがあって、おそらくはその記憶が残っていたのでしょう。
大男ムース・マロイの存在感が光る作品ですが、ストーリーにはやや散漫な印象が残ります。やはりそういう意味では、本書もチャンドラーの代表作の一つではあるのだと思いますが、『ロング・グッドバイ』の方に軍配を上げることになりそうです。
【満足度】★★★☆☆