文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

Nelson Goodman "Fact, Fiction, and Forecast"

Nelson Goodman

"Fact, Fiction, and Forecast" Harvard University Press

 

Nelson Goodman(1906-1988)の"Fact, Fiction, and Forecast"を読了しました。『事実・虚構・予言』として勁草書房から翻訳が出ており、現在も流通している書籍ではあるのですが、英語のペーパーバックの方が安価に手に入るため、そうすることにしました。

 

本書は4つの章から構成されていますが、もともとは別々の論文として発表されたもののようです。つとに有名なのは「帰納の新しい謎」と題された第三章で導入された「グルー(grue)」という述語で、その述語はグッドマンの定義によれば、「時点t以前に調査されて緑色であるもの、そしてそうではない[時点t以前に調査されていない]場合に青色であるもの(all things examined before t just in case they are green but to other things just in case they are blue)」に適用されます(翻訳しにくい英文です)。すべてのエメラルドはグリーンであるという仮説と、すべてのエメラルドはグルーであるという仮説は同じ証拠によって支持されることになるというのが、グッドマンのいう帰納の新しい謎です。

 

この謎は投射可能な(projectible)述語とそうでないものとを、私たちはいかにして区別することができるのか、というかたちで更に展開されていくことになります。本書(第四版)の冒頭にはヒラリー・パトナムによる序言が収録されているのですが、そこで描かれた見取り図が参考になります。

 

【満足度】★★★★☆