ヘミングウェイ 高見浩訳
ヘミングウェイ(1899-1961)の『武器よさらば』を読了しました。本書は1929年に発表された長編作品で、第一次世界大戦のイタリアを主な舞台として、イタリア軍に参加するアメリカ人のヘンリーと、イギリス人看護師キャサリンの恋愛が瑞々しい筆致で描かれています。戦争と愛という大文字のテーマを正面からさばいてみせるヘミングウェイの豪腕が見どころです。“Farewell to Arms”という作品タイトルも素敵です。
個人的には、終盤のイタリアを逃れてボートでスイスへと入国するシーンが印象に残りました。物語はアンハッピーエンドに収束するだろうという明らかな予感が消えぬ間に訪れる唐突な幕切れもヘミングウェイらしいといえば、そうなのかもしれません。
【満足度】★★★☆☆