文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

ティム・オブライエン『世界のすべての七月』

ティム・オブライエン 村上春樹

『世界のすべての七月』 文春文庫

 

ティム・オブライエン(1946-)の『世界のすべての七月』を読了しました。原題は"July, July"で、2002年に発表されています。同じく文春文庫から刊行されている『本当の戦争の話をしよう』や『ニュークリア・エイジ』と同じく、村上春樹氏の手による翻訳です。

 

1969年度の大学卒業生たちが30年ぶりの同窓会に集った前夜祭から翌日の式典にかけての様子と、それぞれの青春時代とそれぞれの来し方が、時空を飛び越えながら交互に章立てて描かれる群像劇です。訳者あとがきでは、本書の特徴が収束というよりも発散として考察されていますが、まさに「まとまりのない」それぞれのエピソードが折り重なっていくことで、同時代性のおぼろげな輪郭が浮かび上がらされています。

 

【満足度】★★★☆☆