ウラジーミル・ソローキン 松下隆志訳
『ブロの道』 河出書房新社
ウラジーミル・ソローキン(1955-)の『ブロの道』を読了しました。『氷』に続く三部作の二作目という位置づけの作品ですが、物語上の時系列でいうと『氷』の前日譚ということになります。1908年にシベリアのツングース(ツングースカ)上空で起きた隕石の大爆発という実際の出来事をモチーフにしつつ、氷のハンマーにより真の名を聞き取る「覚醒者」の原初たる「ブロ」の生誕にまつわるエピソードが描かれます。
「肉機械」などの特異な言語感覚も健在なのですが、前作を読んだときと同じく、私自身はのめり込むというほどではなく、作品の熱量からは適度な距離を保った読書となりました。
【満足度】★★☆☆☆