文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

『20世紀ラテンアメリカ短編選』

野谷文昭編訳

『20世紀ラテンアメリカ短編選』 岩波文庫

 

『20世紀ラテンアメリカ短編選』を読了しました。本書には16人のラテンアメリカ作家による短編が収録されています。ガルシア=マルケス、バルガス=リョサコルタサルフエンテスなど既読の作家もいれば、初めて作品を目にする作家の作品も多数ありました。

 

プロットがしっかりして単純に読みやすかったということもありますが、印象に残ったのはプエルトリコ出身の作家であるアナ・リディア・ベガの「物語の情熱」でした。フランスに住む友人夫婦宅への訪問の様子が、ミステリー作品を含めた文芸作品への言及を含むユーモラスで軽快な文章とともに綴られていきます。内と外を巡る視点の自由さと唐突な結末とが不思議な感覚を残す作品です。

 

【満足度】★★★☆☆