文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

フィリップ・ロス『グッバイ、コロンバス』

フィリップ・ロス 中川五郎

『グッバイ、コロンバス』 朝日出版社

 

フィリップ・ロス(1933-2018)の『グッバイ、コロンバス』を読了しました。1959年に発表されたこの作品はロスのデビュー作で、全米図書賞も受賞しています。発表されたときは中編作品「グッバイ、コロンバス」といくつかの短編作品が収録されていたようなのですが、本書は併録されていた短編は割愛されているようです。

 

デビュー作であるとは思えないほどに、作者のロスが自ら表現すべきものを見据える眼差しは確固としていて、またその表現すべきものを確かな手応えを備えた文章に置き換える技術も持っているということに驚かされます。青春小説でありながら、老獪とまでいうと言い過ぎになりますが、たしかな手筋で描かれた文学作品だと思います。

 

【満足度】★★★★☆