『私はゼブラ』 白水社
アザリーン・ヴァンデアフリートオルーミ(1983-)の『私はゼブラ』を読了しました。イラン系アメリカ人である作者が描く、文学に取り付かれた現代のドン・キホーテの物語です。『白鯨』の冒頭を想起させるタイトルからして、文学に淫した主人公の緩やかな狂気を伝えるものになっているのですが、主人公が試みる「亡命のグランドツアー」は滑稽でありながらどこかシンとした気分にさせられる叙情性を有しています。
贅沢を言えば少し物足りなさも残ってはいるのですが、作者の他の作品も読んで見たいと思わされるほどには面白く読むことができました。
【満足度】★★★★☆