文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

フエンテス『アルテミオ・クルスの死』

フエンテス 木村榮一

『アルテミオ・クルスの死』 岩波文庫

 

カルロス・フエンテス(1928-2012)の『アルテミオ・クルスの死』を読了しました。メキシコの作家フエンテスが1962年に発表した長編作品で、『テラ・ノストラ』や『老いぼれグリンゴ』などの作品と並んでフエンテスの代表作のひとつに数えられる小説です。

 

時制と人称を巧みに入れ替えるラテンアメリカ文学に特有の手法で、アルテミオ・クルスの生涯が重層的に綴られます。読み応えのある作品だと思いますし、『テラ・ノストラ』ほどの迫力はないものの、完成度という面ではこの作品の方が優れていると言えるのかもしれません。

 

【満足度】★★★★☆