文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

シュトルム『大学時代・広場のほとり 他四篇』

シュトルム 関泰祐訳

『大学時代・広場のほとり 他四篇』 岩波文庫

 

シュトルム(1817-1888)の『大学時代・広場のほとり 他四篇』を読了しました。表題先のほか「おもかげ」「一ひらの緑の葉」「アンゲーリカ」「レナ・ヴィーナス」の四作品が収録されています。同時代のイギリスやフランスで花開いている文学作品と比較すると庶民的というか、ドイツの文学伝統でいう詩的な作風の小説が並べられています。

 

同時代のシュティフターが自然や芸術を(あるときには微視的に、またあるときには巨視的に、いずれにせよ過剰なまでの熱量を伴って)詳細に語るのに対して、シュトルムの視点は人間ならではの繊細な運命に向けられていて、それが抒情的な作風に繋がっているようです。

 

【満足度】★★★☆☆