『太陽の帝国』 創元SF文庫
J・G・バラード(1930-2009)の『太陽の帝国』を読了しました。『ハイ・ライズ』以来の読書となる二冊目のバラード作品は、1934年に発表されてブッカー賞候補作ともなったベストセラー作品で、バラードの代表作のひとつとされています。1987年にはスティーヴン・スピルバーグによって映画化もされています。SFではなく歴史小説というべき類の作品で、バラード自身が少年時代を過ごした第二次世界大戦中の上海租界を舞台に、半ば自伝的な要素が織り込まれた作品になっています。
戦禍を描いた小説というのはどれも物悲しく、どこか似たような眩暈と読後感を覚えさせられるのが不思議です。読書からは離れた余談になりますが、本作品を原作としたスピルバーグの映画で主人公を演じたのはイギリス出身のクリスチャン・ベールで、彼は同じく私が最近読んだ『アメリカン・サイコ』の映画作品で主人公の殺人鬼を演じています。
【満足度】★★★☆☆