文学・会議

海外文学を中心に、読書の備忘録です。

大江健三郎『キルプの軍団』

大江健三郎

『キルプの軍団』 岩波文庫

 

大江健三郎の『キルプの軍団』を読了しました。ブレイクやダンテをはじめとして海外の文学作品を読解することをモチーフに、自身の小説の推進力としてきた大江氏ですが、本作ではディケンズの書いた『骨董屋』を読む刑事と甥を物語の中に配し、そしてディケンズ作品に影響を受けたといわれるドストエフスキーの『虐げられた人々』への考察も絡みあうかたちで物語が展開されていきます。専門家筋では評価の高い作品ですが、私には大江氏らしい挑戦的でありながら誠実な作品と映りました。

 

【満足度】★★★☆☆